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「……ん」 「おはよ、目ぇ覚めた?」 ゆっくりと開かれる相澤の瞳に、東の爽やかな笑顔が映る 「!?」 寝ぼけ眼は一気に見開かれ、ギョッとさせながらベッドの端まで後ずさる相澤の様子に、東はプッと吹き出した 「アハハッ、別に取って食ったりは……もうしたか?それにしても本当によく眠るな、お前」 「な、なんで、お前が……!?あっ……!!」 急に全てを思い出したのか頬を真っ赤にさせ、ふいっと顔を逸らし黙り込む 「何その反応?可愛すぎ」 ベッドの端にうずくまる相澤を、東は大きな腕で抱き寄せた 「やっ、やめッ!」 「腰、痛くない?手加減しようと思ってたんだけどあんまり可愛く喘ぐモンだから我慢出来なかった」 そう囁くと、その言葉を聞いて更に耳まで真っ赤に赤らめる相澤だったが、キッと東を睨みつけ、腕を引き剥がしベッドを飛び出した そして無言のまま自身に与えられた部屋に駆け込んでいく 「えー?怒っちゃったの?おーい」 東が呼びかけるが返事は返ってこない。面白くなさそうに東ものそのそとベッドを抜けると、それと同時に相澤が部屋からドタドタと煩く足音を響かせ戻ってきた 「制服!!俺の!!どこやったんだよ!」 物凄い剣幕だがまだ恥ずかしさが残っているのか顔は真っ赤にさせながら東に怒鳴りつける。しかし当の本人はあーと間の抜けた返事で答えた 「捨てたよ?それで……」 「ハァ!?なんで……!お前ッ本当に……!」 わなわなと拳を握りしめ、続く言葉はこのクズ!とでも言いたげな相澤を必死に嗜める 「ちょ、待って待って話は最後まで聞くもんだよ?あるよ、ちゃんと!新しいの」 「へっ……?」 次は急にハトが豆鉄砲を喰らったような反応をする相澤に、意外と表情豊かだねと嬉しそうに東は言いながら、リビングの端に置かれた大きな紙袋を漁る 「優斗が着てたの、どっかの誰かのお下がりでしょ?だいぶよれてたし寸足らずでみっともなかったから新調しておいたよ」 へへんと言った感じで東はまだ一度も袖を通していないような、透明の袋に包まれた真新しい制服一式を相澤に手渡す 相澤は呆気に取られていたが、すぐに眉間に皺を寄せ「何故?」といった不審そうな顔を向ける 「あー、えーっと、この間学ラン破ったお詫び……的な?」 そう言い終わるとほぼ同時ぐらいに、相澤は東の手に持っていた制服一式を取り上げた 「……そういうことなら頂いておく」 ムスッとしながらも手に取った真新しい制服をじーっと見つめる相澤は、自分だけの新品の制服にどこか嬉しそうな様子も見てとれた そして数秒見つめたあと、ボソボソと口を開く 「……東、あの…………………ありがとう……」 本当に蚊が飛ぶような声量だったが東は嬉しそうにどういたしましてとにかっと笑う 「でも優斗、時間大丈夫?」 そう言った東は壁にかけられた時計を指差す 時刻は午前八時半を示している 朝のホームルームが始まる十分前だった

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