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「はっ?なん……えっ!?」 「アハハ!自分から聞いておいてキョドりすぎ!」 動揺で硬直している相澤の頬についているパンのカスを東は掬って舐めとった 「ッッ~なん!!」 相澤が口を開くよりも先に東が先手を打つ 「だからお願い、俺んち来てよ。もう乱暴な事は絶対しないから」 まだ全く状況の掴めない相澤は口をパクパクさせながら東から目を逸らす 「そんな、それって、でも……。どうせ、オモチャとして、だろ……」 「……。何か不満ある?」 さも当然のように開き直る東に、相澤は分かりやすく肩を落とす。口に出さなくてもやっぱりか、と呆れた言葉が顔に書いてあるようだった 「もういい。一ヶ月だ。一ヶ月はお前のところに世話になる。金が貯まったら絶対出て行くから」 「一ヶ月って……優等生の身分にあれだけ執着してるのにどこでそんな金稼ぐんだよ」 次は東の顔が明らかに曇る 「もしかして……援交してんの」 「………。」 相澤からの返事はない。だが逆にその無言が肯定を助長する 「ハァーおかしいとおもったんよ。あんなクソ親父なのにちゃんとスマホは持ってるし、飯も食べずにガリガリってわけでもないし……ハァ、まじか」 心の片隅で見て見ぬふりをしていたような疑問符が東の勝手な解釈により解決する しかしその答えに対して相澤も 「好きに想像すればいい」 なんて返すので、東の顔は更に強張っていく 「………だったらそれ俺で良いじゃん、そこら辺のキモくてデブいリーマンよりよっぽど金持ってるし、俺に援助交際させてよ」 不服そうだか必死にそう言う東の姿に、ついに相澤の方が吹き出した 「プッ、お前必死すぎだろ。……変なやつ」 どこか満足そうにした相澤はしたり顔で次の焼きそばパンの袋を開ける その際にお前も早く飯食えば?なんて初めての気を遣って貰い、東も急いで購買で買ったパンを頬張った

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