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そう気づいた時、半ば諦めたように観念した俺は、なるべく関わりを持たないよう、これ以上気持ちを膨らませないよう、カモフラージュするように更に女癖が悪くなり、他校の生徒と片っ端から喧嘩を吹きかけ気持ちを誤魔化した
そんな荒んだ日々を過ごしたある日、
あの事件が起こった
今まで言いつけ通りに親のレールの上を歩いていた俺がたった一年で全てを棒に振ったおかげで、当然父親には見放されていた
安い1Kのアパートに一人暮らしをし、小遣い稼ぎがてらでコンビニで働いては、その日も休憩室でいつもの如くサボっていた
店に人が入るBGMが鳴ったが気にする素振りもしなかった。
しかしやはり本能なのか、モニター越しに映るその相手をはっきりと目で捉えた。雑誌コーナーに佇む相澤優斗の姿を
久々にちゃんと見たアイちゃんもとい相澤に釘付けになっていたら、優等生である彼は予想もしない行動を取った
ぎこちない様子で、なんてことないレジャー雑誌を鞄に滑らせ、そのままそそくさと店を後にした
それを一部始終見ていた俺は、一瞬呆気に取られはしたが普段使わない頭をフルに回転させ、あの子をどうにかする浅ましい方法を思いついたのだ。
どうしようもなかった
男が男を好きになるなんてあってはならない
ましてやこの期に及んで友達になるなんて尚更嫌だった
どうしても欲しかった
怖がられても憎まれても構わないほど、その子に何度も欲情していた
これは他でもない神様がくれたチャンスだ
忘れてしまっているならば、それでも構わない
あの子を手に入れるためなら卑劣でもクズにでもなっていい
きっとずっと待っていたんだ
こんなまたとない機会を
そしてその作戦はすぐに決行に移された
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