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言葉は同じ
「好きです」
いつぞや見た光景そのままに告げれば、相手は反応に困った表情を浮かべて、頭を掻いた。
「見てたのか? からかうなよ」
あの時とは違う、本気だとは思っていないことがありありとわかる態度に胸が重くなる。自分には柔らかな胸は無いし、顔だって整っている方だけど可愛い、とは言えない。
わかっていた。
「そうーー、なんか真面目に答えてたから」
「そりゃ真面目になるだろ。相手だって真剣なんだから」
高校に入ってから、垢抜けて女子から告白されるようになった幼馴染みは今でこそつるんでいるが、彼女ができたら彼女を優先するタイプだ。誠実だし、クラスのまとめ役をつとめており積極的に行事に参加する姿は女子からも男子からも人気が高い。
話したことのない隣のクラスのやつでも質問されれば答えるし、面倒見がいい。
「でも断ったんでしょ?」
クラスの美人と噂される子も、可愛いと評判の子もタイプの違う女子から告白されても誰とも付き合ったことはない。その点で男子からの信頼も厚いのだ。普通やっかみから嫌がらせされたりしそうなものだがそれもない。
「告白されたから、といって相手の事を知らずに交際するのは無理だ」
「んなこと言ってたら彼女できないでしょ、お試しで付き合うのもありだって」
頭固すぎ、と言えば、相手が苦笑する。
「俺の方が先に彼女作れるわ」
できもしない事を口にすれば、不純だと長い説教が始まる。クラスの奴にも見せない不機嫌そのものの顔を見て変わらないなぁ、と思う。
付き合いが長いという俺だけの特権。
そのうち、交際は交換日記からとでも言い出しそうな真面目堅物に俺だって真剣だったと言える日は来ないだろうと自嘲ぎみに嗤えばすぐに、不真面目だとたしなめられた。
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