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中編

「かんぱーい」  三坂たちは駅前の居酒屋へと入り、酒を飲み始めた。 「で、成人式でも会わなかったから、めちゃくちゃ久しぶりだな」 「あぁ」 「じゃあ、まずは一人ずつ近況報告でもしてみるか」  そっか。3人も今日が久しぶりの再会なのか。  なんかそんな場に俺も参加できて嬉しいかも。  みんな今何してるのか気になるし。 「俺はこっちで就職して働いてる」 「あぁー、やっぱ田中こっちなんだ。俺は隣の県で大学生。三坂は?」 「俺も大学生」 「あれだろ、三坂は東京だったよな」  へぇー、三坂は今東京に住んでるのか。  俺はひとりひとりの話に相槌を打ちながら聞いた。  ◆  2時間が過ぎ、だいぶん出来上がってきた。  みんなの顔も久しぶり見れたし、俺はそろそろ帰ろうかな。  俺はひとりずつ順番に3人の顔をじっくり見た。  三坂、ほんとイケメンだなー。なんて感慨深く見ていたら、またもや三坂と目が合ったような気がした。  さて帰ろう。  今度こそ神様、返事してくれよー。  俺はその場を離れようとしたが、急に話題は俺の話になったので、踵を返した。 「航大が生きてれば、俺らと同い歳なんだよなー」 「でもあいつのことだから、あっちの世界でも何だかんだ楽しく暮らしてるんじゃね?」 「確かにそうだな」 「でも、生きてたら今日の集まりにも来たんだよな」  そう呟いた浜の声は少し涙ぐんでいた。  もう7年経つのに、まだ俺のことを覚えていてくれている。  それだけで、嬉しい。  いい友達を持ったなー。 「―――今、この席に航大いるんじゃないか」  唐突にそう言った三坂。 「あぁー。意外にあいつのことだからいたりしてな」  そんな三坂の言葉に冗談ぽく返した田中。  ほんと、実はいたりするんだけど。  まぁみんなには俺の姿は見えてないわけだし。  それから何だかんだで、もう1時間3人の近くにいた俺。  飲み会はお開きとなり、居酒屋の前3人別々に別れていった。  よし、俺も早く神様を呼んで、帰ろう。  俺はとぼとぼ歩きながら、空を見上げ念じた。    って、何で神様返事しないんだ。  絶対いるはずなんだけど。  何度も何度も神様を呼ぶが、返事が来ない。  えっ、もしかして天国に帰れねーの?  嘘だろ。どうしよ…。  とぼとぼ歩き、無意識に生きていた頃よく行った公園へと足が向かっていた。  この公園懐かしいなー。  7年前と全然変わらないや。  三坂とふたりで肉まん買って、この公園で食べてたよなー。  期間限定のやつとか出たときは、一人は肉まん、一人は期間限定を買って半分個してたっけ。  俺はふたりで並んで座っていたベンチへと腰掛けた。  もしかしたら、今まだ俺が生きてたら、今でも三坂とずっとつるんでたのかなー。  同じ高校に行こうとも話したな。  でもあいつ頭良かったから、一緒の高校は無理だったかも。  ぼーっと公園の遊具を視界に入れながら、そんな昔のことを思い出していた俺の横に影ができ、誰かが隣に座った気配がした。  ――三坂だ。  三坂はただぼーっと前を見ている。  三坂もこの公園での出来事を思い出してるのかも。  俺は三坂の横顔をじーっと見た。 「元気そうだな」 「……っ!」  びっくりした。 「元気そうってのも変か」  三坂は前を向いたまま誰かに語りかけているが、今、三坂の他に人間はいない。  まぁ俺はいるけど、俺は見えてないだろうから。  あぁ、そうか、空の向こうの俺に話しかけてるのか。  それなら納得。  空の向こうというか、実は隣にいるんだが。 「今日まさか航太に会えるとは思わなかった」 「…いや俺もまさか三坂達に会えるとは思わなかったし」 「そっか。じゃあ偶然なんだな」 「まぁ、偶然だよな」  …………んっ?  普通に会話になってないか?  会話のキャッチボールができてるよな??  隣に座ってる三坂の方を向いたら、さっきまで正面を見ていた三坂はいつの間にか俺の方を見ていた。

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