65 / 153

第一章 誕生日前夜④*

 ウィルバートはマティアスの唇を味わうかのように優しく()み、舌で唇の合わせを舐めてきた。マティアスが舌を差し出すと迷うことなくそれに舌を絡め吸ってくれる。マティアスはうっとりとそのキスに身を任せた。  やがてウィルバートの唇が唇から離れ、マティアスの耳から首筋へと辿っていく。 「んっ、はぁっ、ウィル……」  ウィルバートはマティアスの背中を撫で擦りながらマティアスの薄く出た喉仏に唇を這わせた。マティアスはその唇の感触に酔いしれながら聞いた。 「な、なぁ……ウィル、どんな人が好みか教えてよ……髪が短い方が好きなら切るし……、華奢な方が好きなら痩せるよ……」  ウィルバートはマティアスの質問を無視するかのように首を舐め続けている。 「ウィル、悪あがきだとわかっているが、少しでも……少しで良いからお前に好かれたい……」  そよ風のような溜め息を首に感じた。  ウィルバートはそのままマティアスをベッドへと押し倒し、マティアスを上から見下ろした。 「好みなんて、ありませんよ。……貴方の髪はもはや国の宝だ。むやみに切ってはいけないし、王子として不健康に痩せるなんて論外です」  そう言って、ウィルバートの手は優しくマティアスの髪を撫で、寝巻きの上から胸を触り始める。マティアスはウィルバートの手の感触に悶えながら思った。 (王子としての価値だけなのだな。私にとって王子である利点は、ウィルを騎士に出来ることだけだったのに……)  悲しみに胸を締め付けられながらも、身体はウィルバートからの刺激を素直に受け、昂っていく。 「んっ、はぁ……」  ウィルバートの指が薄い寝巻きの生地越しにマティアスの胸の突起を探る。優しく擦られぷっくりと主張し始めたその小さな粒をウィルバートは爪の先でそっと引っ掻いてきた。 「んっ!」  甘く痺れる刺激にはしたなく漏れてしまいそうになる声を必死に(こら)えた。しかしウィルバートはそこを執拗に擦り続ける。 「は……んっ……ん……」  マティアスは口を自身の腕で塞ぎ、顔を背けた。  ウィルバートは片方の胸の突起を爪で弾きながら、もう片方に唇を寄せた。布ごと柔らかな唇に挟まれる。 「んんっ!」  さらにウィルバートはマティアスの寝巻きの裾から手を差し入れ、太腿を撫でてきた。その手は腿から尻まで這い回り、内腿を辿り下着の中にも入ってくる。

ともだちにシェアしよう!