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第一章 誓いと未来②
礼拝堂での儀式を終え、城から出てきたマティアスを出迎えたのは大観衆と大声援だった。
マティアスはウィルバートが選んだ白と金の衣装に身を包み、パレード用の豪奢な馬車に乗り込んだ。
先に進むのは国王イーヴァリの馬車で、その間にも馬が数十頭も連なる。そしてマティアスの馬車を先導するのは黒鹿毛の馬グラードに跨がったウィルバートだ。
ウィルバートもまた式典用の軍服に身を包み、いつになく凛々しかった。マティアスはそんなウィルバートをずっと眺めていたい気持ちを抑えながら、沿道の人々に手を振った。
真っ青な空に色とりどりの紙吹雪が舞い、ワーッと纏まった人々声の合間から、『マティアス様ー!』『殿下ー!』『おめでとうございます!』などの声が聴こえる。
笑顔で手を振り返してくれる沿道の人々にマティアスは目頭が熱くなった。
『黒霧の厄災』から十二年。火焔石が採掘できないことから昔のような贅沢な暮らしはできていない。それでもこうして王室を慕い、マティアスの成長を喜び歓声を贈ってくれる民達。
マティアスはここにいる全ての人が幸せであって欲しいと心から素直にそう思った。
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