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第二章 思わぬ賓客②

「えっ、馬車に乗ってらっしゃるのですか!?」 「ごめんなさい。警備上、事前連絡も出来なくて」 「だ、大丈夫です! どうぞ、こんな狭いところですがっ」  事前連絡無しに国王が訪問するなんて正直迷惑以外の何物でもない。だがマティアスがどう言う心境で「来たい」と言ったのか分からないが追い返すなんて論外だ。  ロッタがオレンジ髪兵士に目配せすると、兵士は頷き馬車の扉を開けた。  カイはハッとしてニーナを見た。既にニーナはパニックに陥り口をパクパクさせている。 「ニーナ、いいか落ち着け」  ニーナの両肩に手を置き、低く言うとニーナはコクコクと頷いた。むしろカイは自分自身にも言った言葉だった。  再び馬車の方を振り返ると、一緒に乗っていたらしいあの赤毛の少年ルーカスの手を借り、マティアスが馬車から降りた所だった。  マティアスは真っ直ぐにこちらを見つめている。先日と同じく黒い僧侶のような出で立ちだが、髪は緩く編み前に垂らしていた。髪の美しさがより映えている。  カイは静かに深呼吸し、笑顔を作り玄関から外に出た。 「ようこそお越しくださいました。小さな工房ですがよろしければ中へどうぞ」  カイはマティアスの前まで歩み出た。  マティアスは緊張したような面持ちでカイを見つめて微かに頷いた。  マティアスは工房の中に入ると興味深そうに室内を見渡していた。  そしてロッタ、オレンジ髪の兵士、ルーカスも入ってきて狭い工房は一気に人口密度が増す。 「陛下、こちらへどうぞ」  カイがソファに座るよう勧めるとマティアスは頷き応接用のソファに座った。カイはそれから部屋の隅で固まるニーナの所へ行き小声で話しかけた。 「お茶をお出しして、それからヨエルを呼びに行ってくれ」 「お、お茶、ちゃ、茶葉はどれ使ったら……っ」 「フォルシュランドから持ってきたのはまだあるか?」 「う、うん!」 「じゃ、それで。落ち着け、大丈夫だから」 「う、うんっ!」  カイはニーナの肩をポンポンと叩き、ニーナは台所へと向かった。  そしてカイは再びマティアスの方を向くと、マティアスは無表情でこちらを見つめていた。

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