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第二章 知らない男⑤*
「ふっ……んっ!」
カイはマティアスの柔らかな唇に乱暴に喰らいついた。
薄く開いた歯列から舌を侵入させ自分勝手に中を舐め回す。マティアスの瑞々しい舌を見つけるとそれを引きずり出しやや強めに噛んだりもした。
「……っ!」
マティアスの身体が驚きビクビクと震える。
カイはジュルッとわざと卑猥な音を立て唇を離した。
『くちづけ』とも言えない様な乱暴な蹂躙だったにも関わらず、マティアスは頰を紅潮させ恍惚としている。
カイはマティアスの靴を脱がし、下肢の被服に手をかけた。マティアスが全く抵抗する気がないので、一気に下着ごと引きずり下ろす。
「あっ!」
マティアスは慌ててシャツの裾で前を隠した。
「この前は自分から見せてたじゃないですか」
「あ、あれはっ!」
マティアスは赤い顔をさらに真っ赤にさせている。
カイはテーブルに置かれていたクリームの入った小皿を取った。焼菓子用に添えられていたものだ。それを指で取りマティアスに言った。
「脚を抱えて、拡げて見せて」
「な、何……っ?!」
「騎士様を咥え込んでた場所ですよ。自分で拡げて見せて」
マティアスが困惑の表情を見せる。
(ひょっとして、最後まではしていないのか?)
カイは思った。こんなまっさらな汚れを知らないような高貴な人だ。その騎士とは抱き合ってくちづけする位だったのかもしれない。
だがその淡い期待はすぐに打ち砕かれた。
マティアスはおずおずと脚を持ち上げ抱えるようにし、さらに開き、その薄紅色に色付く蕾をカイの前に晒した。
「ハッ、王子様でもヤルことヤッてるか……」
カイはそう悪態をつくと、その白く滑らかな尻の谷間にクリームを塗りつけ、一番秘めた場所に中指を潜り込ませた。
「んっ……!」
マティアスが苦しげに呻く。
そこは何かを受け入れたことなど無いかのように硬く閉ざされていた。
「……最後にしたの、いつなんです?」
指をゆるゆると動かしながら聞いてみた。
「じ、十八になる前……」
国王でありながら、平民の男に脚を開いて見せているマティアスは、その質問にも律儀に答えた。
確かに先程のサムエルの話ではその騎士はマティアスの成人の儀の後すぐに死んでいる。その後マティアスは誰にも身体を許さずここまで来たと言うことだ。
「成人前か……。子供に手ぇ出すなんて、その騎士様も大概だな」
カイが皮肉っぽくそう言うとマティアスは視線を逸らして言った。
「じ、事故みたいなもので……。本当は、ずっと……耐えてくれてた……」
その言葉は『大切にされてた』『愛されていた』と言っているようでカイを余計に苛立出せた。
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