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第三章 浮気⑦*

「じゃあ……次はここ……」  ウィルバートがそう言うとマティアスの尻の奥に触れてきた。 「……ん」  マティアスは微かに返事をし、ウィルバートを受け入れるべく指示を待った。  暗闇でウィルバートがマティアスの脚を持ち上げる。そしてそのまま腹まで抱えさせるように折り曲げ、足がウィルバートの肩に乗せられた。 「カ、カイッ!?」  真っ暗な中でその体勢に驚いていると、さらにウィルバートがかがみその秘めたる場所に吐息を感じた。 「ちょっ、ちょっとまってっ!」  マティアスの制止も聞かずウィルバートはその蕾に舌を這わしてきた。 「い、いやぁっ! ダメっ! そんなっ」  あり得ない。そんな所を舐められるなんて。マティアスは驚き身を捩るが腰をガッシリと掴んだウィルバートは離してくれない。 「あんっ! ウィル、ダメぇ」  するとウィルバートが言った。そこに唇を当てたままで。 「今、『ウィル』って呼んだ。さて、罰は何にしようかなぁ」 「そ、そんなっ」  ウィルバートは明らかに楽しんでいる様子の声色だった。クスクスと笑う息が蕾に当たりそれだけでも感じてしまう。 「ああ、ダメだ……。どんなエロいことさせようか……想像するとやばいな」 「な、なに言って……!」 「ま、お仕置きは後でだ。今はこっちに集中して。痛かったら正直に言えよ」  ウィルバートはそう言うと再びそこを舐め始めた。さらに蕾の回りにだけでなく舌を中に入れようとする。 「はぁんっ! そ、そんなこと……しなくていいからっ!」 「駄目だよ。今度はちゃんと気持ちよくさせるって言っただろ? 今日は指しか入れないから」  その言葉を聞いてマティアスは驚いた。 「な、なんでっ?!」 「ん?」 「い、入れてくれないのか……?」 「ちゃんとゆっくり慣らして、うしろで気持ちよくなれたら、な」 「そ、そんなっ! 私は、カイと繋がりたい……」  マティアスの心からの気持ちだった。  行為による快感は副産物のようなもので、ウィルバートとならそれが激痛であっても構わなかった。またこの前の時のように腹の中に思い切り子種を出して欲しい。あの時の幸福感こそがマティアスにとっての快感だ。 「そんな、誘惑しないでくれよ。春までここで一緒なんだ。ゆっくり慣らしていけばそのうち入る」  マティアスはさらに驚き聞いた。 「それって……また抱いてくれるってこと……?」 「……なんだよ。これっきりのつもりだったのか? お前とこんなに抱き合ったら、俺はもう我慢できない」 「ウィル……」  マティアスはあまりの嬉しさに溜め息のようにその名を漏らした。 「あ、『ウィル』呼び二回目。そんなにいやらしいお仕置きされたいのか?」 「ち、ちがっ」  ウィルバートはクスクス笑いながらもマティアスのそこをたっぷりと舐め濡らし、中指を潜り込ませた。 「はぁんっ!」 「はい、じゃあ俺の太いの受け入れる為に頑張って」  その色気ある整った顔が嬉しそうに笑うのをマティアスは暗闇でも分かる気がした。

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