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第三章 朝日の中で①*

 薄いカーテンが朝日を容赦なく寝室へ通し、その光はカイの瞼も通り抜け、目と脳に起きろと呼びかけてくる。 「ん……」  カイはなんとか薄目をあけ寝ぼけた頭をガシガシと掻いた。そして自分の胸に顔を埋めて眠る愛しい人の髪を撫でる。その金の髪はキラキラと朝日を反射させていた。  昨日は思わぬトラブルからマティアスに『浮気』と称した睦み合いを提案たところ、マティアスがそれに乗ってきてくれた。  深くキスをし、互いの肌を撫で回し、互いの中心部分を合わせて、欲望を吐き出しあった。さらにマティアスは後孔でカイの指二本を飲み込み、その刺激で二回吐精した。その時の艶めかしい喘ぎを思い出すと、朝で硬くなっていたカイの中心がさらにむくむくと起き出す。  最高に幸せな気分だ。なのにその中にジワッと黒く染まる苦い思いがある。  マティアスが男である身体を見せたくない、声を聞かせたくないと言った事だ。それはあのカイが嫉妬からマティアスに乱暴した時、意地悪く「普段は女しか抱かない」と言ったことがきっと原因だ。マティアスはその言葉に傷付き、ずっと気にしていたようだ。  昨晩はマティアスの『脱がさなくていい』と言う言葉にどうしたら良いか判断がつかず灯りを消すと言う対処をしたが、やはり見たい。見て触りたいのだ。そして女の代わりだと言う誤解も解きたい。 「ん………」  カイの胸の中で眠っていたマティアスがもぞもぞと動き顔を上げた。 「マティアス……」  頬を撫で小声で呼んでみるがまだ夢の中のようだ。むにゃむにゃと動く唇が可愛くてカイはそっと口づけた。すると夢現(ゆめうつつ)のマティアスが舌を差し出してくる。カイはニヤけながらその可愛い舌を吸った。 「んぁ……かいぃ……」  寝ぼけながら名を呼ばれてカイの胸は天に昇るほど喜びで溢れた。過去の男の名ではない。 「マティアスっ……」  覆い被さりさらにキスを重ね、布団の中で全裸の肌を弄る。 「ん……ぁんっ……」  吐息のように微かに喘ぐマティアス。カイは我慢出来ずそっと上掛けを捲った。  朝日に照らされた金の髪と、美しい筋肉を覆う白く滑らかな肌。左肩付近の傷はまだ痛々しいさがあるが、カイの視線は薄紅色の胸の飾りに吸い寄せられていた。  昨日暗闇で肌を吸いまくったせいで、カイがつけた鬱血の跡が胸の周囲や首筋に散っている。さらにさんざん舐めねぶられ、いつもよりぽってりと赤く色付いている胸の先端。  ゴクッと、カイの喉が鳴った。

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