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第三章 冬の日々①*

「あんっ……あ……んぁっ!」 「……ほら、ここ、イイだろ?」  ウィルバートに下から激しく腰を突上げられ、お湯がパチャパチャと跳ねる。 「んっ……はぁっ、い、イイ……」  暖炉の前に置かれた盥の中。胡座をかいているウィルバートのそそり勃つソレに向かい合う形で腰を下ろしたマティアスは、ウィルバートの肩にしがみつき必死にその快楽について行く。 「ん……可愛いよ……」  暖炉に照らされた肌をウィルバートが眺め囁く。その眼差しはとても熱く、欲情の色と合わせて『愛おしい』と言っているかのようだ。 「んあっ、カイぃぃ……」  マティアスは羞恥心に耐えながらも腰をくねらせ、ウィルバートの分厚い胸板に縋りつき、唇同士が触れ合いそうな位置で甘えた声を出した。  マティアスの必死な誘惑に降参するようにウィルバートが笑みを浮かべて唇を吸ってくれる。 「んっ……んっあ……」  互いの舌を絡ませているとウィルバートが腰を揺すりつつマティアスの乳首を摘み弄んでくる。 「そ、そんな全部だめっ……で、出ちゃう……」 「ふふっ、本当に弱いな。ここ」  キスを繰り返しながら愛しい黒い瞳を見つめる。気を抜くと愛の言葉を口にしてしまいそうだった。  二人が肌を合わせるようになって半月余り。ウィルバートからは直接的な言葉は貰っていない。そしてマティアスもまたそれを口にしていなかった。  自分の全てを捧げる程、もうこれ以上は無いと思う程愛していると思っていたのに、抱かれれば抱かれるほどさらに気持ちが膨れ上がる。  口に出さなくてもマティアスの想いはきっとウィルバートには筒抜けだ。それでもマティアスは想いを伝えることが出来なかった。  ウィルバートの記憶を奪ったこと。  それを隠したままで愛を囁くなど、卑怯で誠実さに欠けると思った。  だから怖い。    ここでの生活はまるで夢物語だ。雪で閉ざされたこの小さな世界に二人きり。この甘い夢から覚めたくない。  ウィルバートはウィルの時もカイの時も優しかった。きっと真実を知ってもマティアスを許してくれる。そう思いたいのだが……。  もしも許して貰えなかったら?  その不安がマティアスの決断を先延ばしにしていた。 「マティアス」 「ひぁっ!」  ウィルバートが突然マティアスの腰を掴み最奥までその剛直を突き入れた。 「俺以外のこと考えてんなよ」 「あっ、あんっ! あっ、んっ、んっ」  そのまま奥で激しく揺すられ内壁を侵される。 「か、考えて……なっ……い……っ」  ウィルバートはマティアスをさらにきつく抱き寄せその胸に舌を這わせた。 「んあっ! あんっ、あぁっ!」  蕾を激しく突き上げられながら胸の粒を吸われ、舌で転がされる。 「ああ……すげぇ締め付け……!」 「あんっ! も、もうっ……出ちゃ……!」 「俺もだっ」  マティアスは自らも腰をくねらせ絶頂へと上り詰める。ウィルバートも察してマティアスの腰を激しく揺さぶり、乳首を『じゅるっ』と吸い上げた。 「ひゃああぁぁっっ!」 「くっ……!」  二人の腹に挟まれたマティアスの中心部から熱いものが溢れ出し、それよりもさらに熱いものがマティアスの腹の奥で弾ける。  ちゅっと音を立て乳首から唇を外したウィルバートがマティアスの顔を見つめてくる。マティアスはカイの髭の生えた頰に頬擦りし言った。 「カイしか……カイしか見えないよ……」  その言葉にウィルバートが少し笑うのをマティアスは肩越しに感じた。

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