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第三章 冬の日々②*

「髪が冷えてる。もう上がろう」  ウィルバートがマティアスの濡れた金髪を撫でながらそう言い、深く繋がっていた部分を引き抜いた。何度も蕾の中で果て今は落ち着いてはいるものの十分に体積のあるそれがヌルッと出ていく感触にマティアスは身を震わせる。 「んっ……あっ、零れちゃう……」  そして中に大量に放たれた温かい精液が太腿を伝ってきた。マティアスが急ぎ下腹に右手を当てると、手のひらと腹が淡く金色に光り出す。行為の後は決まってこの魔術で中に出されたものを処理していた。   取り込みたい。愛する男がこの身で昂ってくれた証を一滴残らずこの身に宿したい。そう願うと腸に放たれた子種がマティアスの身に取り込まれていく。 「それやってる時、いつもすげぇ色っぽい顔してるな……」  マティアスを見つめながらウィルバートがポツリと呟く。 「そんなこと、言うなよ……」  マティアスは恥ずかしさからウィルバートを睨んだ。だが威嚇力は無いようでウィルバートは「すまんすまん」微笑み、布でマティアスの身体を拭き始めた。  身体を拭いてもらい、寝巻きを着せられ、暖炉の前に敷かれたラグの上に座り、髪を拭き乾かしてもらう。髪を拭いてもらいながら再び腹に術をかけた。なんとなくまだなか馴染んでいない気がしたからだ。 「……騎士様の時も……それ、してたのか?」  マティアスの髪を拭きながらウィルバートが躊躇いがちに尋ねてきた。ウィルバートが過去のことを聞いてくるのは珍しい。  マティアスはウィルバートの髪を撫でる手が心地よく、ウトウトとしながら質問に答えた。 「いや……ウィルは、中に出してくれなかったから」 「はあっ?!」  突然ウィルバートが大きな声を出し、マティアスはビクリと身体を震わせた。 「え? な、何?」  驚き振り向くとウィルバートが固まっていた。 「カイ?」  小首を傾げて尋ねる。ウィルバートは「はぁ~」と大きく溜め息をつき「マジか~」と独り言のように漏らす。 「『出してくれなかった』って事はさ、『中に出して』って言ったことはあるんだ?」 「ん……まあ……」 「だけど騎士様は出さなかった……」 「そう……だな……」  マティアスは質問の意図が良かわからなかったが嘘はつきたくないので正直に答えた。ウィルバートは「ふはっ」と笑い「あーあ」と落胆したような声を出した。 「騎士様にすげぇ負けた感じがする」 「何故だ?」 「だって、マティアスを凄く大事にしてたってことじゃん」 「そうなのか?」 「そうだよ。俺が凄く自分勝手な気がしてくる」 「そんなことないよ」  こんなにも尽くしてくれる男が自分勝手なものか。マティアスはそう思い微笑んだ。

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