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第三章 想い⑦*

「マティアス。もう我慢できない。尻の方で咥えてくれ」  カイがそう懇願するとマティアスが顔を上げた。濡れた唇が光る恍惚とした表情。はだけた寝巻きから覗くピンク色に勃った乳首。さらに股間の男性たる象徴は完全に勃起し寝巻きの生地を先走りで濡らしていた。 「俺のを舐めててこんなにしてんのか?」 「んっ……!」  カイが生地越しにその可愛い竿を撫でるとマティアスの身体が震えた。 「……(うしろ)から入れてもいいか? 嫌なら無理しなくていいけど」  カイはやや躊躇いながら尋ねた。  マティアスが舐め濡らしてくれたこの状態で直ぐに身体を繋げたい。だとしたら負担が少ない後からが良いが、あの強姦紛いの初めての行為から背中側からはしていない。あの時のマティアスも獣のような繋がり方に戸惑い拒否反応を示していた。 「……いいよ」  カイの心配とは裏腹にマティアスはそう呟くと背中を向けて自ら四つん這いになった。マティアスがそう身体を差し出してくれるのならば、と思い、カイはチェストから小瓶に移してある菜種油を取り出す。中身を手に取りマティアスの寝巻きをたくし上げ尻の合間に塗りつけた。三日に一度はまぐわっているその蕾はカイの指二本を安々と飲み込みひくつく。 「んぁっ……カイィ……」  マティアスは白い尻を揺らしカイを無意識に誘ってくる。 「あぁっ、我慢できねえ……!」  カイは自身の怒張を掴み、マティアスのその蕾に押し当てた。 「はぁんっ!」 「ああっ、マティアスっ」  慣らしが不十分でキツいその蕾はそれでもズブズブとカイの巨塊を飲み込み始める。 「んああぁぁんっ!」  マティアスが艶めかしく鳴く。カイはマティアスの身体を気遣い腰を止めた。 「……痛いか?」  「はっ、あんっ、イイっ!」 「ん、気持ちよかったか。ああ、凄いな……」  カイが確認するようにマティアスの前を触ると既に射精してしまったようでトロトロと精液を吐き出していた。  マティアスは快感に耐えられない様子で、カイの枕を抱える様に上半身を伏せ、尻だけをカイに向けて突き出している。  丸い尻の谷間にカイの怒張を咥え込み、捲れた寝巻きから細い腰が覗く。カイはさらに深くその蕾を侵しながら、マティアスの寝巻きを背中まで捲り上げた。 「ああ、マティアス……お前は背中まで美しいな……」  しなる華奢な腰から連なる背骨。そこに乱れる金色の髪。 「あっ、あぁんっ! ふ、深いっ……!」  マティアスは戸惑ったようにふと後ろを振り返り、カイに視線を送ってきた。  涙で潤みランプの光を反射させ光る緑の瞳。高すぎず大き過ぎない整った鼻。薄く開いた赤い唇。その全てがカイの求める理想の顔だ。 「ああ、マティアス!」 「ひ、ひゃぁああっ!」  カイは我慢出来ず、マティアスの細い腰を持つと激しく腰を打ち付けた。 「んあっ! あんっ、あっ、あっ!」 「ああ、マティアスっ! 好きだ……! 俺のものだ!」 「ひゃぁんっ! あん、カイっ! 好きっ、私も、好き……っ」  後から滅茶苦茶に掻き抱きながらカイは思った。かつて沢山の女達を背後から抱いた。ヴィー扮するミランダもだ。しかしこんなに興奮したことは無い。  美しい金髪はもちろん、時折見えるマティアスの表情にひどく興奮する。マティアスの顔が好きというのもある。だがマティアスだからこそ興奮させているのだ。そう感じた。 「マティアスっ……ああ、もうっ出るっ」 「んあっ、カイぃっ……」  マティアスの腹の最奥に自身の欲望を思い切りぶちまけ、カイは幸福に包まれながら囁いた。 「マティアス……愛してる」

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