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第三章 帰還④

 マリアンナをセラフィーナの輝飛竜乗せてもらい、暴漢三人はクラウスが魔術で出した光の綱で輝飛竜から吊り下げられ運ばれた。  輝飛竜三頭が城へと続く城下町の大通りを低空で飛んで行くと、町中から人々の大歓声が起こった。 先頭を飛ぶマティアスとウィルバートに気付き「陛下ー!」「マティアスさまー!」と声を上げる人々。 「髪も短いし、服装も王族には見えないのによく分かるな」 「マティアスは遠くから見てもすぐ分かるよ。そこだけ輝いてるから」  マティアスの疑問にウィルバートは惚気のような答えを返してきて、頬が熱くなる。  さらに人々はあとに続く二頭の輝飛竜に乗った人物にも気付きざわついていた。時折『クラウス』『セラフィーナ』と呼ぶ声も聞こえてくるのでその容姿で気付いた者もいるようだが、まさか二十年も前に姿を消した伝説の英雄がそのままの姿で現れるなどと信じられるわけもなくただ混乱しているようだった。  三頭の輝飛竜は城へと着き、大広間に面したバルコニーへと降り立った。半年前マティアスの誕生日祝賀会が開かれ、マティアスとウィルバートがフェイと共に飛び立った場所だ。そこには城中の人々が集まってきた。 「陛下!」 「ベレフォード!」  真っ先に人垣から出てきたベレフォードは老人とは思えぬ脚力でマティアスに駆け寄ると、老人とは思えない力強よさでマティアスを抱きしめた。 「良くぞ、良くぞご無事でっ!」 「ベレフォード! 聞いてくれ! 『黒霧の厄災』を鎮めたぞ!」 「ああ……! やはり陛下でしたかっ! 光の柱が立ったので、まさかと思いましたがっ」  真っ白な髪と髭の小柄な老魔術師はハラハラと涙を流し喜んでいる。 「ベレフォード、私一人じゃ無理だった。結局失敗して一度死んだんだ」 「な、なんと!」  マティアスの説明にベレフォードは目を見開く。 「でもウィルが命懸けで助けに来てくれて、さらに母さまとクラウス殿下が時を渡って来てくれたんだ!」  マティアスは説明しながらセラフィーナとクラウスを見た。 「ベレフォード! あなた全然変わって無くて安心するわ!」 「ああ、昨日見たままだ」  ベレフォードに駆け寄るセラフィーナとクラウス。 「ああっ……! なんたる、なんたる奇跡! イーヴァリ様にもお見せしたかった……!」 ベレフォードは呆然と二人を見つめ震える手で二人の頬を撫でた。

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