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第三章 ウィルとカイ③*

 するとウィルバートがマティアスを担ぐようにひょいと抱き上げた。 「わっ!」  声を上げたマティアスをウィルバートは優しくベッドに座らせると、再び口づけてきた。さらに着たばかりの寝巻きのボタンを上から一つ、二つと外していく。  深い口づけと胸元を探るウィルバートの指に身を熱くしながらもマティアスは尋ねた。 「んぁ……お腹減ってないの?」 「ん……減ってるけど、『ウィル』がもうマティアスに触りたいって限界だ」  その不思議な答えにマティアスはウィルバートを見つめた。 「人格、分かれているのか……?」  マティアスの質問にウィルバートが曖昧に笑う。 「なんだかまだ二つの記憶が馴染んでないような感じなんだ。ウィルの立場だと、あのマティアス様が成長されてさらに美しくなって、今、目の前に居るって言うことが……もう、たまらない」 「本当? 少年の頃より男らしい身体だ。ガッカリされないか心配だが……」 「まさか。ウィルの部分がカイから見たマティアスの記憶を必死になぞってる。でも思い出じゃなくて……実物を見たいし、触りたい」  熱っぽく黒い瞳を向けられマティアスは顔が熱くなった。マティアスは自ら寝巻きの合わせを開き、その肌をウィルバートの目の前に晒した。 「好きにして。全部、ウィルとカイのものだよ……」  恥ずかしさで全身がより熱くなる。するとウィルバートはゆっくりと手を伸ばし、マティアスの胸に触れてきた。 「マティアス……様……」  胸の先端を避けるように肌を撫でられる。 「跡、残らなくて良かった……」  輝飛竜フェイに抉られた左肩付近を撫でて呟く。そこはもうすっかり綺麗に治っていた。初期治癒をヴィーがしたおかげだ。  ウィルバートの手がマティアスの肌を這い回る。肝心な場所を避けて。そのもどかしい刺激にマティアスの胸の飾りはプッツリと勃ちあがり、下半身の男たる象徴も寝巻きを押し上げていく。 「あっ……もう、意地悪しないでっ」  興奮が抑えられずマティアスはウィルバートの頬に顔を寄せ、その顎髭に唇を寄せキスをしつつ、時折舌も這わせた。 「フフッ……そんなふうに男を誘ってくるなんて、大人になったんですね」  やはり人格が完全に統合していないのか、ウィルバートは昔のように丁寧な口調で話してくる。 「はしたなくて嫌? 嫌いになる?」  マティアスが不安に思い聞くとウィルバートは「まさか」と溜め息のように呟き、深くマティアスの唇を吸ってきた。 「んっ……!」  唇を舐めれながら左胸の先端を指の腹で押しつぶされた。ウィルバートに乳首をクリクリと転がされながら、寝巻きに侵入したもう片方の手がマティアスの背中から尻かけて撫で回す。 「んぁっ!」  唇が離れると同時に左胸の突起を強めに抓まれ、さらに右胸の突起が口に含まれた。 「んっ、あっ!」  片方を指で転がされながら、もう片方をじゅるっと吸われ、舌先で弄ばれる。 「あっ、あんっ、あ、ウィルっ……!」  マティアスは悶えながらウィルバートの頭を抱きかかえた。胸を舐め回されながらウィルバートのコシのある黒髪を頭皮から掬うように撫で、つむじにキスを落としながら匂いを嗅ぐ。先程魔術で洗い流したが微かにウィルバートの体臭を感じ、さらに興奮してくる。 「マティアス様。もうここもこんなに……」  ウィルバートが寝巻き越しにマティアスの脚の間の昂りを探ってきた。 「んっ……だってぇ……」  ウィルバートがマティアスの耳に唇が当たる程近くで囁いた。 「ここも、どんな風に成長されたか、見せてください」  その声と吐息にマティアスはゾクゾクと身を震わせた。

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