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第4話

 いつの間にか車は人通りのまったくない道を走っていた。  周りにあるのはさびれた駐輪場と、シャッターの降りたなにかの工場だけ。街灯の光も弱く、物寂しい。剣上はそこで車をとめた。 「先生、ここどこ? なんかちょっと怖いんだけど……雰囲気が」  友一は幽霊とかホラー系は大の苦手である。 「オレがいるだろ?」  剣上はそう言うと、いきなり友一が座っているリクライニングシートを倒した。 「わっ」  突然のことに友一は驚く。 「せっ、先生!?」  思わず声が上ずってしまったのは、エッチな想像をしてしまったせいだ。  も、もしかして、カーセックスするの?  まだ二人は車中でのセックスの経験はない。  友一がドキドキしていると、剣上がクス、と小さな笑い声を漏らした。 「友、おまえ、なに考えてるんだ?」 「な、な、なにって……」  車で二人きりで、このシチュエーションっていえば、考えられるのは――。  そのとき、ドンという音が遠くのほうで聞こえた。  あれ? この音って……。 「ほら、友、見てみろ」  そう言って剣上はフロントガラスの向こうへ視線を移す。友一も彼の視線を追った。  すると遠くのほうの空で、花火が上がったのが見えた。 「ちょっと遠いけど、ここからならよく見えるだろ? 花火。二人だけの特等席だ」  剣上の言葉に被さるように夜空に花が咲く。 「本当、よく見える。すっごい綺麗……! ねー、先生……」  友一が手を伸ばすと、彼はその手を握ってくれた。

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