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夢か現か ④

「何やってるんだ」 若干、呆れたようなNaoの声が降って来る。そして、顎に手を充てて少し考えた後、何かに気付いたのかベッドの枕木にあった、銀のフレームを手に取りおもむろにそれをかけた。 「……え、ええっ!?」 途端にNaoから露木君へ早変わり。信じられない、Naoが露木君だった。なんて……。 いっつも長めの前髪を降ろしてたし、マスクで口元は隠れてたし、眼鏡で人の顏の印象は変わるって言うけども! いやいや、ちょっと待てよ。いくらなんでもそんなわけ無いって!  世界には自分のそっくりさんが3人はいると言うし、他人の空似だ。 それか、双子の兄弟とか? そうだよ。本人な訳がない。Naoの血を分けた兄弟説が濃厚か。 きっとそうだ。そうに違いない! でも、もし……もしも本人だったら? 「お前、百面相が得意なのか?」 ククッと小さく肩で笑われて、俺は自分でもわかるくらいにカチンと固まってしまった。 「べ、別に……そう言うわけじゃ……ちょっと、びっくりしただけで……」 「フッ。まぁいい。顔洗って来いよ。その間に朝飯作っとくから」 Nao……じゃなくて、露木君はそう言って俺の髪をくしゃりと撫でてからベッドを降りた。 「……ッ」 なんか、もう。頭の中が大パニックだ。もし仮に露木君がNaoだったとしたら、俺は知らずに憧れの推しに同居の提案しちゃったって事になる。 しかも、昨夜は膝枕までして貰って、更に抱き枕にして爆睡しちゃった挙句にモーニングコール……。 それって、ヤバくない!? 「うあ、どうしよ……」 思わず悶絶。頭を抱えて、俺はベッドの上でゴロゴロ転げ回った。 「何やってるんだ」 「はうぁっ!?」 Naoじゃなくて、露木君の呆れた声。 「な、ななな、なんでもないっ!」 俺は慌てて飛び起きて、転がるように洗面所に駆け込んだ。鏡に映った自分の顔が、耳まで赤く染まっている。

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