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買い物デート ③

「そんな! 俺は別に何も……っ」 「謙遜するな。本当に感謝してるんだ。お前のお節介な所に何度救われた事か」 褒めてるんだか貶してるんだかわからないような言葉に思わず失笑が洩れる。 あぁ。もう、この声とか喋り方とか本当に反則!  俺は、鉢を大事そうに抱えた露木君を伴って、現場を一旦後にした。 それから俺達は自転車に乗って、近くのショッピングモールへと足を運んだ。 此処は、俺の家からも近いし、品ぞろえも豊富だ。何より、食料品から日用品まで何でも揃うから、重宝してる。 「何から買う?」 「そうだな。とりあえず、服と下着類かな」 「あ、じゃあさ。俺が見繕ってやるよ! 露木君って、なんかこう……お洒落っぽいの似合いそう!」 俺は、意気揚々とそう言って、露木君の腕を取る。 「ちょ、椎名。引っ張るなって。子どもかお前は」 「いいじゃん! ほら、早く行こうぜ!」 「ったく。仕方ないな……」 そう言って、満更でもない顔で笑う露木君。 「へへっ」 なんか、こういうのってちょっと楽しい。露木君とは、今までそんなに接点なかったし、こんな風に一緒に行動できるなんて夢みたいだ。 それに、学校ではいつも仏頂面してる彼の表情が心なしか柔らかいような気がする。 その事が、単純に嬉しくて俺も自然と笑顔が零れた。 「コレなんてどう? 露木君にめっちゃ似合いそう!」 「あっ、こっちのモード系の服もいいね。クールでカッコいいし」 「露木君、何か趣味とかある? あ、このTシャツカッコよくない? カジュアルだし、スタイルよく見える」 一緒に来られたのが何となく嬉しくて、大はしゃぎで露木君をあちこち連れ回した。  「俺は着せ替え人形か何かか?」 なんて言いつつ、嫌な顔一つしないで付き合ってくれるのは、きっと彼が本当は優しいからだ。 結局、露木君の服は俺が勝手に選んで、下着類と日用品は、真新しい服に着替えた露木君と一緒に見て回って買った。

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