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買い物デート ⑨
それから俺達は露木君の提案で大量の買い物袋を抱えたままゲーセンに立ち寄り、車の対戦ゲームで対戦したり、太鼓を叩いたりして遊んだ。
気付けばあっという間に時間は過ぎて行き、茜色に染まる土手の遊歩道を、二人で自転車を押しながら並んで歩く。
青々とした田んぼの畔に咲く菜の花畑が、夕日に反射してキラキラと光っていて、凄く綺麗だ。
「さっきはありがとう」
「何のことだ?」
「篠田達のこと。庇ってくれて、凄く嬉しかったから」
「……別に。あんなことしなくても、もっと早くにお前を助けられたのに。ちょっとカッとなって、頭に血が上ってたみたいだ。悪かったな」
露木君はそう言って、バツが悪そうに視線を泳がせる。
「ううん。凄くかっこ良かったよ」
「……そう」
そっけなくそう言って、ふいっと顔を逸らした露木君の横顔が夕焼けに染まっていて、ほんのり赤く色付いて見える。
その姿が何だか可愛く思えて、思わずふふって声が出てしまった。
「なんだ?」
「いや、なんか照れてるなぁって」
俺がそう言うと、露木君が明らかにムッとする。
「僕、別に照れてないんだけど」
「え~? そうなの?」
「そうだよ」
そう言いながらも、露木君の耳たぶも赤く染まってるのが見える。
その顔がなんだか可愛いとか言ったら、もっと怒られそうだから、口には出さないけれど。
「でも、よかった。俺、てっきり露木君に嫌われてると思ってたから」
「は? なんで? 僕、嫌ってなんか……」
露木君が慌てて否定する。
「だってさ、いっつも冷めたような眼で俺の事見てただろ? まぁ、篠田に散々露木君とは関わらない方がいいって言われてたのもあるけど……怖くて近寄りがたかったって言うか。正直、苦手意識持ってた」
俺は、元々友達が少ない上にオタク気質だし、友達を作るのが凄く苦手だ。入学してすぐに、篠田とは席が前後だったって事もあって仲良くなったけど、露木君とは会話らしい会話をした記憶が無い。
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