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新たな日常

ルームシェアを始めてから数日もすれば、お互いの生態がなんとなく掴めて来る。 露木君はどうやら朝が弱いらしく、いつも目覚ましのアラームが鳴っても、なかなか布団から出て来なくて。 「露木君、朝だよ」 「んー……」 「ほら、起きて。遅刻しちゃうよ?」 「んー……あと5分……」 そう言って、また布団を被ってしまう。俺はそんな露木君の布団を無理矢理引き剥がして叩き起こすのが日課になりつつあった。 でも、ぜんぜん苦にならない。寧ろ眼福過ぎて、毎朝この時間が楽しみですらある。 寝起きの推しの破壊力は半端ない。 本当に同じ年齢? って聞きたくなるくらいの溢れる色気。 その気怠げな眼差しや、ちょっと掠れた雄みの強い声に、俺は始終ドキドキさせられっぱなしだ。 結局、あの火事以降Naoの配信は止まったまま。 あんなにも毎日欠かさずに配信をしていたのに、もう数日は様子を見てるけど、露木君が何かを作業している気配は一切感じられない。 配信の事は詳しくわからないけど、特殊な機械とか必要なのかな? それとも、俺に気を遣っているのだろうか? すぅすぅと穏やかな寝息を立てている露木君の寝顔を、ベッドサイドに座ってじっと見つめる。 濃く長い睫毛が呼吸に合わせて微かに揺れてくっきりと影を落としているし、薄く開いた口元にあるホクロがなんだか凄く色っぽい。枕に流れるサラサラの髪も、すごく綺麗だと思う。 いつまでも見ていられるけれど、いつまでもこうしているわけにもいかない。 俺は名残惜しさを感じつつも、そっと離れて音を立てないように注意しながら部屋を出た。

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