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キミが好き ③
でも、これが恋愛としての『好き』なのかどうかなんて、俺にはわからない。
「わ、わからない」
「わからない?」
「俺、露木君の事、好きか嫌いかって言ったら好き……だし、このまま一緒に居たいって思う気持ちは嘘じゃない。けど、でも、恋人になりたいとか、そう言うのじゃ……」
しどろもどろになりながら、言葉を何とか紡いだ。こんなの、ムシのいい言い話だろうか。
もしかしたら俺は、露木君に酷いことを言っているのかもしれない。
「でも、僕の事は好き、なんだよね?」
「え? えっと……うん」
露木君は少し考えるような素振りを見せた。そして、念を押すようにそう問われ、頷いた。それはそうなんだけど、でもこの気持ちが露木君のそれとは違うような気もする。
露木君は俺と二人の時はよく笑ってくれるし、楽しいって言ってくれた。俺だって同じで露木君といると楽しいし、ドキドキして、もっと一緒にいたいって思ってる。
でも、露木君と恋愛がしたいのか? って言ったら……だめだ。わからない。想像が付かない。
俺の好きは推しへの憧れとか、そう言うのじゃないんだろうか。
第一、俺達は男同士だし。 露木君はそう言うの気にしなさそうだけど。
「そっか……。取り敢えず、椎名に嫌われてないって事がわかっただけでもいいや。今すぐに付き合いたいとかそう言うのじゃないから。ただ、きみに好意を持ってるって事だけ覚えておいて欲しい」
そう言って、露木君はもう一度俺を腕の中に抱き込んで大きく息を吐いた。
「でも、もし……。椎名が、僕と同じ気持ちになってくれた時は……その時は……」
「!」
耳元で、少し掠れた露木君の声が俺の鼓膜を揺らす。同時に、俺の心臓は早鐘のように脈を打ち、ドキドキと心音が煩いくらいに高鳴った。
「その時は、もう遠慮しないから」
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