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キミが好き ⑥
「そっか……」
「椎名が俺の代わりに毎朝水やりしててくれたお陰だね」
心底嬉しそうな表情をして、露木君が俺の頭をくしゃくしゃと撫でる。
子供扱いされてるみたいでちょっとムッとしながら顔を上げた。
「ま、まぁ、露木君みたいに面倒臭がって受け皿が水浸しになるくらい入れてその後数日放置しちゃったりなんて事、俺はしないから」
「言うねぇ、椎名」
冗談めかした俺の台詞に、露木君はちょっと眉尻を下げて苦笑いを浮かべる。
「……露木君って案外面倒臭がりなとこあるよな。しおれて元気が無いからって栄養剤何本もぶっさしてたり」
「う……っ」
痛い所を突かれたという表情を浮かべる露木君は学校にいる時とも、Naoの時とも違う。
俺だけしか知らない、表情豊かな一面が見え隠れする。
でも、そんなギャップがまたいい。
「でも、俺は露木君のそう言う所、嫌いじゃないよ」
何気なく言った言葉に露木君が一瞬驚いたように目を瞠った。そして口元を手で覆うと、ふにゃりと表情を崩した。
「椎名って、時々凄い事いうよね」
苦笑しつつ、露木君の手が伸びてきて俺の頬を指の腹でそっと撫でる。
「っ」
甘さを含んだ仕草に、ドキリとさせられて、思わず硬直してしまう。
忘れてたわけじゃないけど、こういう雰囲気は未だに慣れない。
だって、なんか……。
俺と二人きりで居る時の露木君の笑顔って、なんだか甘ったるい気がする。
勘違いかもしれないんだけど、でも、笑いかけられたら凄くドキドキして、胸の奥がムズムズする。
これってやっぱり、俺が露木君をそういう意味で意識し始めてるから?
「椎名? どうかした?」
「やっ、な、なんでもないっ!」
露木君の手の感触になんだかドキドキして、頬がカッと熱を持つのがわかった。
俺、今絶対変な顔してるから、出来れば見ないで欲しいのに俺の態度に何か思うところがあったのか、露木君は小さく笑って「顔真っ赤だね」と言って俺の頬をふにっと摘んだ。
「ひう……っ」
思わず変な声が出て、慌てて口元を手で覆った。
でも露木君はそんなのお構いなしに俺の頬を触りながら相変わらず悪戯っぽい視線を俺に向けてくる。
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