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ヤバい ②
先端から溢れた蜜が幹を伝って、それを全体に伸ばすように扱くと、ぬるりとした感触に腰が震えた。
「……ッ、は……っ、ん……っ」
声を出さないように唇を引き結んでも、鼻に掛かった甘たるい吐息がどうしても、零れてしまう。
外では露木君が待ってる。早くでないと、怪しまれてしまう。そう思うのに、
「ぁ、ぅ……っん……ッ」
ぬちゅぬちゅと濡れた音が狭い室内に嫌に響く。その音を自分がたてているのかと思うと、更に羞恥を煽られて余計に身体が熱くなる。
こんなのダメなのに。いつ誰が来るかもわからない場所で、一人快楽に耽ってる。こんな変態みたいな事しちゃダメだ。頭ではそうわかっているのに、指が止まらない。
「ん……ッ」
先端を指の腹で擦ると、腰が抜けそうなほどの快感が走る。その時フッと、何故か脳裏に露木君の顔が浮かんで来て、心臓が大きく鳴った。
「ッ!?」
なんで……っ、どうして今、思い出すんだ……ッ。
あの時の、俺を見る露木君の、どこか熱を孕んだ妖艶な表情とか、欲の籠った低い声とか。そういうのが一気に蘇ってきて、思わず膝がガクガクと震えた。
「は……っぁ、あ……っ」
やばい。イっちゃいそう――。
「椎名。本当に大丈夫?」
「っ!?」
あと一撫でしたら達せそう、な段階で突然、個室の扉がノックされて心臓がヒュッと竦みあがった。
と、同時にギギッと閉めたはずのドアが嫌な音を立てて開いて、俺は慌てて前屈みになって股間を隠す。
「あ、う、うそ……なんでっ!?」
「…………」
ゆっくりと開いた扉越しに露木君と目が合う。彼の目が俺の下半身へと向けられているのに気がついて、居た堪れないやら恥ずかしいやらで、俺は思わず泣きそうな気分になった。
「あ……あの、これは……その……」
なんで!? 俺はちゃんと鍵を閉めたはずなのに。
「ここ、鍵が壊れてるって扉に書いてあるよ」
「エッ!?」
そんなの俺、知らない。
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