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ヤバい ④
「は……っぁ、あ……っ」
掌から溢れ出るくらいの大量の精液が、パタパタと床のタイルへと零れ落ちる。
あまりの恥ずかしさと居た堪れなさに、俺は涙目になりながら必死に下半身を隠そうと身を捩った。
ごく、と露木君の喉が上下したのを俺は見逃さなかった。ギラギラとした熱を孕んだ眼差しが、俺を上から下まで舐めるように見つめる。
「あ、あぁ、あの……っ俺……ッ」
「――……椎名。帰ろっか」
「は!?」
さっきまでの濃厚なエロさはなんなの?って思うくらいあっさり手を離して立ち上がった露木君に、俺は思わず素っ頓狂な声をあげた。
「は? じゃないでしょ。ここがどこかわかってる?」
「……っ」
そうだ。ここカラオケ。しかも、誰かに見られるかもしれない個室。
そんな所で、こんなはしたない格好で、俺は一体なにを……っ!
「こんな姿の椎名、誰にも見せたくないし。続きは家に戻ってから、ね?」
「つ、つづきって……」
ニッコリと笑って露木君は立ち上がり、意味深な流し目を残して個室を出て行く。
その際、廊下から微かに風が来て、濃厚な性の匂いが鼻をついた。
「続き……って……」
いや、そんな訳ない。そんな訳……ッ。
「椎名? 行くよー?」
「お、おうっ!」
慌てて汚れた床を片付け、ズボンを履いて個室を出ると、露木君がもう会計を済ませてくれていて、何事もなかったかのように爽やかな笑顔を俺に向けて来る。俺はと言うと、さっきの露木君の言葉で頭が一杯になっていて、まともに顔を見ることも出来なくて、ただ俯く事しか出来なかった。
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