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バレた ③
大きく深呼吸をして気持ちを落ち着けようとするけど、一度脳裏に蘇ってしまった妄想はなかなか消えてくれなくて。
頭を振って妄想を追い出そうとするけど、一度火のついた身体は簡単には静まってくれない。
「――なに、してるの?」
「ぴゃっ」
突然背後からふわりと抱きしめられて、飛び上がるほど驚いた。心臓が止まるかと思った。いや、実際数秒は止まってたと思う。
バクバクと早鐘のように脈打つ胸を抑えながらギギギっと壊れたロボットみたいな動きで首を後ろに向けると、そこにはコンビニの袋をぶら下げた露木君が立っていた。
え? なんで?? 帰って来るの早くない? 日付が変わった頃だって言ってたのに。グルグル回る思考。不意打ちだったせいで、上手い言葉が浮かばない。それどころかまともに目を見ることさえできない。
「へぇ、……ねぇ、椎名。これって……」
露木君は、俺を抱きしめたままひょいと覗き込んで来た。その目に映るのはノートパソコンの画面いっぱいに映ったNaoの姿。そしてその奥にあるスピーカーから流されている……Naoの声だ。
そう、俺は今、Naoの過去の配信を聴きながら、一人でその、アレな事を……。
かぁぁぁっと一気に顔が熱くなる。見られた! 絶対バレた! 恥ずかしさのあまり思わず逃げようとしたけど、露木君が俺を抱きしめる力を強くする方が先だった。
「や、ち、ちがっ、たまたまだよ! 適当に開いたら偶々おススメに出て来ただけで」
「へぇ、《《たまたま》》……ねぇ?」
あわあわと言い訳を並べる俺の顔とパソコンの画面を交互に見比べ、露木君は意地悪な笑みを浮かべた。
絶対揶揄われてる。わかってるけど、上手くかわす言葉が見つからない。
俺がもごもごと口籠っている間に、露木君の手がパソコンに伸びてパタンと閉じた。
「ねぇ。僕の声聞きながら、何を想像してたの?」
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