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眠れぬ夜はキミのせい ④
配信を見ている女の子たちから持て囃されているコメントを見ても、全然なんとも思わなかったのに、露木君が俺以外の誰かとした事があるかもしれないって思っただけでモヤモヤしてる。これって一体どういう事だろう?
「……はぁ」
小さく溜息を吐き出す。なんだか胸が痛い。
こんな気持ち初めてで、どうしたらいいのかわからない。
なんだか寝付けなくて、起こさないようにそっと体を抜いてベッドから抜け出した。
改めて、露木君が今使っている部屋を見る。 立派なパソコン用のデスクと椅子、見たことが無い機材。
基本的に全てモノトーンで纏められていて洗練された大人の部屋って感じがするのに、デスクの上に転がっている電動マッサージ器が妙に浮いていて、少し笑ってしまった。
「……いつも、これを使ってるのかな……?」
と言うか、肩でも凝っているんだろうか?
デスクに近付き、置いてあるマッサージ器を手に取った。
結構大きいけど、重くはない。スイッチを入れてみると、低い振動音と共に細かい振動が始まった。
「うわあ……すご……」
肩に当ててみると、絶妙な力加減で押し当てられる。確かにこれは気持ちいいかも。
「椎名」
「ひぇッ!?」
いきなり背後から声を掛けられて、思わず変な声が出た。慌てて振り返ると、そこには眠そうな目をした露木君が立っていて、俺は慌ててマッサージ器をデスクの上に戻した。
「あ、ご、ごめん。起こしちゃった?」
「……いや、気付いたら居なかったから。どうしたの?」
「えぇっと、ちょっと、トイレに行こうかなって思って……」
「トイレって……入口は向こうだよ?」
「あれ? あはは……っ、ホントだ。俺、寝ぼけてたのかなぁ?」
「……っ、く……くく……わざとらしい」
露木君が口元を押さえて、小さく肩を震わせる。
「なにもそんなに笑う事ないじゃんか」
「ごめん。だって、椎名ってホント面白いよね」
露木君は謝りながらもまだクスクス笑ってる。俺はムゥッと頬を膨らませ、プイとそっぽを向いた。
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