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これって本当にマッサージ!? ④

出来れば、昨夜のような強烈な快感に飲まれてわけがわからなくなるような事はしたくなかった。 気持ちが良すぎてクセになりそうだし、自分が変わっちゃいそうで正直怖い。 「んん……っ、ダメだって、言ってるじゃんか」 「どうして?」 「だって、昨日もしたのに……。俺ばっかりこんな風に乱れて、振り回されて、馬鹿みたいじゃん」 体を半分起こしてそう訴えれば、露木君は一瞬押し黙った後、小さくため息を吐いた。 「なにそれ。馬鹿みたいって。それってもしかして、僕が椎名を玩具のように扱ってるって思ってるって事?」 露木君の声のトーンが低くなる。表情はよく見えないけど、ムッとしたような声色になんとなく怒っているのかな、と、そう思った。 でも、咄嗟に違うと言えなかったのは、心のどこかでそう感じてたからなのかもしれない。 「そっか。そんな風に考えてたんだ……。ごめん、そんなつもりは無かったんだ。ちょっと悪ふざけが過ぎたみたい」 露木君は、本当に申し訳なさそうな声でそう言った。 そして、指を引き抜くとそのまま俺の身体を仰向けにして、頬にそっと触れながら謝罪の言葉を口にする。 「不安にさせてごめん。椎名は玩具なんかじゃないよ。僕の大切な恋人だ。僕は単なるスキンシップのつもりだったんだけど、椎名が嫌がる事はしたくないから、椎名が嫌ならこれ以上は続けるつもりはないよ」 露木君は少し寂し気な表情で俺を見た。そして、頬から手を放し身体を起こすとそのままベッドに横になろうとする。

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