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隠し切れない気持ち ②

「な、ななななんで……っ!」 「やべー、ウケる。やっぱそうなんだ?」 「っ、カマかけたな!?」 ニヤつく賢人に思わず噛み付く。しまったと思っても、もう後の祭りで。 「別にカマかけたつもりはないけどさ、ここ数日お前の動きがどうもぎこちない感じがしててさぁ。だから、そうなんかなって思っただけ」 「う……、そ、それは……」 出来る限り普段どうりにしているつもりだったけど、どうしても腰の鈍い痛みとか、席に座る時の違和感とかが拭えず、変な歩き方になっていないかとそればかりが気になって、周りに気を配れなかったのは事実だ。 もしかして、他の奴らにもバレてたりするんだろうか? もしそうなら、色々と恥ずかしい。 「安心しろよ。違和感つっても、なんか変だなぁ? くらいだからさ。多分みんな全然気付いてねーと思うよ。 俺はまぁ、偶々気付いたっつーか……、お前から目が離せなかったって言うか」 「え?」 最後の方はごにょごにょ言っててよく聞き取れなかった。 「なんでもない。ほら、行こうぜ」 賢人はいつもの調子で笑いながら、ポンと軽く俺の腰を叩いて教室に向かって歩き出す。 「あ、うん」 なんだかくすぐったい様な気持ちになりながらも、俺もそれに続いて歩き出す。 「なぁ、一体どうやってあの鉄仮面みたいな露木を堕としたんだよ?」 「堕としたって……。俺は、別に……」 露木君が俺の何処を好きになったのか。そんなの、俺が知りたいくらいだ。 他愛もない話をしながら廊下を歩いていると、掲示板にこの間行われた中間テストの上位者の名前が貼り出されているのが目に入る。 「うわ、もう結果出てるんだ」 「つか、今はもう成績張り出す学校とかほとんど無いって話じゃん。ウチの学校古すぎだろ」 賢人の不満そうな呟きに、うんうんと頷いて同意示しながら順番に見ていくと、案の定一番上の方に露木君の名前があって思わず感嘆の溜息が漏れた。

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