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隠し切れない気持ち ③

パソコン持たせたら右に出る者は居ないし、成績も常に上位。5位以下になった所なんて今まで一度も見たことがない。何でもそつなくこなして、俺の知らない事を沢山知ってて。 そんな凄い人が、……俺の事を好きだって言ってくれて、毎晩甘えるみたいにして触れて来たりして……。 「さすが露木君……。カッコイイなぁ」 ぽろり口をついて出た言葉。その言葉に、賢人がピタッと足を止めたのがわかった。 「何だよ、ノロケかぁ?」 「ち、違うよっ! そんなんじゃないって」 慌てて否定したけど、賢人はニヤニヤ笑いながら肘で俺のわき腹をグリグリしてくる。 「俺はただ、純粋に凄いなぁって思っただけで!」 「はいはい。ごちそーさん」 「……相変わらず、仲がいいんだね」 突然頭上から声が降って来て、背後からふわりとバラの香りがした。 ドキッとしながら顔を上げれば、そこには案の定マスクに眼鏡で完全武装した露木君が立っていて、俺は思わず「あ……」と小さな声を発してしまう。 「おはよう」 「お、おはよ」 ついさっき、賢人に俺達の関係がバレたばかりで何となく、ぎこちない挨拶になってしまった。 だけど、露木君は別に気にしてない様子で、チラリと掲示された自分の名前を一瞥しただけで、特にリアクションするわけでもなくそのまま教室へと歩いて行ってしまう。 学校では相変わらずクールだ。 「相変わらず素気ないなぁ」 「まぁ、アレが露木君の通常運転だし」 「アイツがムキになってノロケたりするの想像できねー」 確かに。学校の彼だけじゃ普段の露木君からはかけ離れすぎているから、想像するのは難しいだろう。 俺だけの前でしか見せない本当の露木君を知ってる優越感。そんな物を得て、思わずちょっと嬉しくなる。 「たく、まーたニヤけてんぞ。幸せいっぱいって感じだな」 「う……、そんなんじゃないってば」 と言っても全然説得力が無いのは自分でもわかってる。でも、仕方ない。露木君の事を考えると、自然と顔が緩んじゃうんだから……。

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