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真夜中の××× ②

「ううん、大丈夫。偶然目が覚めただけだから」 「そっか」 「ねぇ、昼間言ってた俺が手伝えることって、何?」 今の作業を見た限り、俺に何かが出来るとは到底思えなくてそう聞いてみた。 パソコンは一応使えるけど、動画の編集とか全然詳しくないし、タイピングだって授業で学んでやっとできる程度だ。 動画に一緒に出て欲しいとか、そう言う話だったらすぐにはOK出来ないし……。 撮影も編集も一人でやってたみたいだから、その手伝いか何かだろうか? 「あぁ、そうだったね。実は、僕と一緒にネタを考えて欲しいんだよ」 俺の頭を撫でながら露木君はニコッと笑ってそう言った。 「ネタ?」 「そう。今までずっと一人で考えていたんだけど、そろそろネタが尽きてしまいそうなんだ」 あぁ、だから聞きたい言葉とか、言って欲しいセリフやシチュエーションを俺らリスナーに時々投げかけていたのか。 ただのファンサの一種かと思って居たけど、まさかのネタ切れだったなんて。 でも、それだったら、今までどうりリスナーに応募をかければいいだけなんじゃないだろうか? 「言いたいことはなんとなくわかったけどどうして、俺なわけ?」 「え?」 「いや……だってさ、ネタを考えるのは別に良いんだけど、それってリスナーさんに聞けばよくない?」 そう。別に俺じゃなくてもいいはずだし、今まりどうりリスナーに投げかけて採用して貰った方が、他のみんなも喜ぶはずだ。 それに、ネタを考えるって……それってつまり、露木君の言う事やする事を俺が一緒に考えてって事だよな? それって……。 なんだかちょっと恥ずかしいし、Naoの配信を聞く度に色んなことを思い出してしまうんじゃなかろうか。

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