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真夜中の××× ⑤
あぁ、どうしよう。スると約束はしたものの、やっぱりいざとなると物凄く恥ずかしい。
昨夜は流石に夜明けが近いし、学校があるからと理由を付けて、なんとか露木君の魔の手から脱出したものの、目がランランとしてしまって結局一睡も出来なかった。
もしかしたら授業中寝ちゃうんじゃないかと思ってたのに、全然眠くなくて、それどころか、昨夜の事を思い出しては、一人でドキドキしたり、もだもだしたり。
そりゃ、全く興味が無いって言ったら嘘になる。
俺だって、健全な男子高校生なんだから、そう言うのにだって勿論興味はある。
でも、それは……自分自身に使うモノとしてじゃなくって、その、いわゆるAVを見るような感覚で、だ。
そもそも、男が使って気持ちがいいものなんだろうか? あんな手の平に収まるような小さいもので快感が得られるなんて、俄かには信じられない。
一体、どんな感覚なんだろう? って、俺は変態かっ! 一人で悶々と考えを巡らせていても答えが出る筈もなく。
「椎名、大丈夫か? 今日、お前……なんか変だぞ」
「ぅひゃぁっ!?」
検索窓に文字を打ちかけたタイミングで、突然かけられた声に思わず変な声が上がる。
「なんだよ、びっくりした。そんな驚く事じゃなくね?」
そう言って、賢人が呆れたような表情で俺を見ている。
「ご……ごめん」
「別にいいけどさ。なに検索しようとしてたんだ?」
「いや、別に……何でもない」
そうそっけなく返しはしたものの、内心の激しく脈打つ鼓動は収まらない。
「なんだよ、教えろよ。あ、わかった! エロサイトでも検索しようとしてたんだろ。 やだぁ、椎名君ってばやらしー」
「ち、ちちっ、違うからっ!」
「えー、じゃあ何?」
「……っ」
言えない。言えるわけがない。
まさか自分が、アダルトグッズを検索しようとしてただなんて。居た堪れなくなって口を噤んだ俺を見て、賢人は益々ニヤケ顔になる。
「お、その顔はビンゴだな」
「だ、だから! 違うって」
「駄目だよ藤丸。椎名が困ってるだろ?」
澄ました顔で、露木君が賢人の肩に手を置きながら窘める。全てわかってるくせに、何も知らないみたいな顔をして、だ。
「なんだよ。俺は別に……」
「藤丸だって、他人に見られたくない検索だってあるだろ? 」
よく言うよ。誰のせいで!って、心の中で思いっきりツッコミをいれつつ、チラリと隣の露木君を見ると目が合ってクスリと笑われた。
なんかもう、気まずいやら恥ずかしいやらで、じわじわと首から上に熱が籠るのがわかる。
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