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友情と疑惑

「あれ? 露木は? 一緒に帰らないのか?」 全く、露木君は一体なにを考えているんだ。あんなこと言われたら、余計に意識しちゃうじゃないか。 ついさっき言われた事が頭から離れず、気付くと思い出しては妄想に耽ってしまいそうになる。 危うく、全然集中できなくて先生に指されるところだったし。 だいたい、先に試してみてもいいって、そんなのするわけ無いじゃないか……。 ただでさえ普通にスるのもいっぱいいっぱいなのに、玩具なんてそんなの、絶対無理に決まってる! 「おーい、椎名?」 それに、AVだってアレは女優さんの演技が上手いからで、実際に使うのとじゃ全然違う筈だ。 そうはわかってるけど、多分、普通にするより気持ちいいって言ってた露木君の言葉を思い出して、なんだかソワソワしてしまう。 本当に、あんな小さい玩具で気持ちよくなっちゃうものなんだろうか? 寧ろ、違和感の方が凄そうな気がするけど。でも、もし……本当に気持ちいいんだとしたら、ちょっと、いや、かなり興味ある、かも。 「しいな、くーん」 ぼうっと考え込んでたら、突然肩を揺すられた。 ハッと我に返ると、賢人が怪訝そうな顔で俺の顔を覗き込んでる。 「っ、け、賢人。なに?」 「なに、じゃねぇっての。皆もう帰ったぞ」 「へっ!?」 慌てて辺りを見渡してみると、教室には俺と賢人の二人だけ。 スマホで時間を確認してみれば終業のチャイムが鳴ってから既に30分以上が経過していいた。 やば、全然気付かなかった……っ! 俺、どんだけだよっ! 衝撃の事実に愕然として、恥ずかしさのあまり頬を両手でパンパン叩く。 こんな事したって何の誤魔化しにもならないけど、出来るならこの恥ずかしすぎる思考を頭の中から追い出してしまいたい!

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