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友情と疑惑 ②
一人であたふたしている俺を見て、賢人は何か悟ったのか、呆れた顔でため息を吐いた。
「たく、露木も薄情なヤツだよねぁ。普段はウザい位椎名の周りちょろちょろしてんのに。声くらい掛けてやれよっての」
「露木君は悪くないよ。今日は用事があるって言ってたから、きっと急いでたんじゃないかな? ボーっとしてた俺が悪いんだし」
少し非難めいた賢人の言葉を制して、慌てて荷物を鞄に詰め込む。
「お前はボーっとし過ぎな。マジで大丈夫なのか? なんかさ、最近ちょっと様子おかしくねぇ?」
賢人の言葉に思わず動きが止まった。
賢人は俺と露木君がそう言う関係になったってわかっても変わらずに接してくれているけど、本当はどう思ってるんだろう?
露木君の求めるスキンシップがどんどん過激になって来て、変わってしまいそうな自分が怖い。なんて言ったら引かれちゃうかな?
「ま、話したくないなら別に話さなくていいぜ。それよりさぁ、露木居ないんだったら偶にはマジバ行かね? 最近全然お前と遊べてないから、俺だって椎名が不足してんの」
「ははっ、何それ」
悩んで黙りこくった俺を見て、賢人は話題を逸らすようにそう提案してきた。
きっと、気を遣ってくれてるんだろうな。時々デリカシーの無い事も言うけど、それも場を盛り上げようとしてくれてる証拠だし、こうやっていつも気遣ってくれる。
そのさり気ない優しさに、俺はいつも救われてるんだよな。
「いいね、行こう」
カバンのチャックを閉じて、立ち上がる。
賢人は俺が誘いに乗ると思っていなかったのか、驚いたように瞬きをした後、嬉しそうに笑った。
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