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友情と疑惑 ③
学校から程近い所にあるファーストフード店は、平日の夕方だと言うのに少し混雑していた。
丁度下校時刻と被ったせいもあるんだろうけど。
適当に注文を済ませ、トレーを持って席を探す。
運よく二人掛けのテーブルが空いていたから、賢人と向かい合わせで座り、他愛もない話をしながら
ポテトを摘んでいると、賢人が突然思いついたように口を開いた。
「そう言えば、最近ずっと聞きたかったんだけどさぁ」
なんて前置きをして、賢人が身を乗り出してくる。
「お前ら、どれくらいのペースでヤってんの?」
「ブフッ」
唐突な質問に、思わず口に含んだコーラを噴き出しそうになった。
「な、ななななにっ、いきなりっ」
「いやさ、だってアイツ基本塩じゃん? エロい事なんて全然興味ありませーんみたいな顔してさぁ。普通だったら年頃だし毎日でもヤリたい!ってなるじゃん? 実際どうなんかなって思って」
賢人がさらりと生々しい事をさらりと言ってのけるから、あからさまな好奇心に言葉を無くした。
普通、そう言う事って人に言うもんじゃ無くない? いや、確かに他の人達がどのくらいのペースでシてんのかとか、露木君の提案するアレは普通の事なのか、とか、知りたい事は沢山あるけど。
昼間散々そう言う事を聞くなって露木君に釘を刺されてたのに、全くもって効いてない。
「そ、そう言う事って普通言わなくない?」
「そうか? 篠田なんて、毎日ヤりまくりだってめっちゃ自慢してたけど」
「……ハハッ」
「この間は、ローター使ってみたけど、めちゃくちゃ反応が凄かったとか言ってたな」
「……ソ、ソウナンダ。凄いねぇ」
まさかこんな所で元カノの性事情を聞かされるなんて思って無かった。言われてみれば確かに、俺らの中で比較的多く上がる話題ではある。
だけど! 自分の事をあけすけに話す気にはとうていなれない。ましてや男同士の話なんて聞いて楽しいもんでもないだろ?
「俺達の事はそっとしておいて貰えると嬉しいんだけど……」
「あぁそっか。あんまり根掘り葉掘り聞くと露木に怒られるもんな。二人だけの秘密って事か。羨ましいなぁ」
「……賢人は、偏見とか無いんだ?」
「は? なんで?」
「いや、だって、普通は男同士で付き合ってるなんて聞いたら、気持ち悪いって思うもんだろ?」
ずっと、聞いてみたかった。自分の性的嗜好が世間一般とズレてるんだって自覚してるから、興味本位で踏み入って欲しくないし、好奇の目に晒されるのはあまり好きじゃない。
「別に? だって、好きになっちゃったもんは仕方ないじゃん。椎名が幸せなら俺は何も言わねぇよ」
「そ、そっか」
自分で振った話題なのに、そんな風に返って来るとは思ってなかったから、何だか妙に照れてしまう。
気恥ずかしさと、微妙な空気感になってしまったのを誤魔化すように窓の外へ視線を逸らすと、見慣れた後姿を見つけた。
あれは、間違いなく露木君だ。用事って言ってたけどこんな所でなにを――?
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