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トラブルメイカー ④
トイレに駆け込み、自分が今、どんな顔をしているのか鏡の前に立って、自分が今どんな顔をしているのかチェックする。
取り敢えずはそこまで酷い顔はしていないようだとホッと息を吐くと、そのタイミングで篠田が入って来た。
「あれ、環じゃん」
「っ……」
人にあんな事をしておいて、よく平然としていられる。
あまりのふてぶてしさに、俺は言葉を失う。
「そんなに警戒すんなよ。ちょっとした悪ずざけじゃん」
悪ふざけ? あの行為が、悪ふざけ? あんな事をする人間がいるだなんて、思いもよらなかった。俺は思わず拳を握りしめた。
そんな俺の様子を見て、篠田は何かを悟った様に、ニヤリと笑う。
「俺さ、ちょっと悪ノリが過ぎたって反省してる。出来ればまた友達に戻りたいって思ってるんだ。環、お前もそう思わねぇ?」
「っ……」
全部、賢人たちの言うとうりだ。コイツは、最もらしいような事言ってるけど反省なんてきっと微塵もしてない。
「俺、反省してるんだ。お前と友達に戻りたいって」
「……っ」
俺は、思わず後ずさる。
「な、仲直りしようぜ、環。……また前みたいに仲良くやろうぜ」
そう言って、篠田は俺に一歩近づいて来る。
「……悪いけど、無理」
「は?」
「俺、人を簡単に裏切るような奴は信用できないし、友達にもなりたくない」
ハッキリそう言って、俺は踵を返した。
「お……おい! 待てよ!」
横を通り過ぎようとしたその瞬間、篠田が焦ったような声を出し慌てて俺の肩を掴んだ。
「……っ、なに?」
その途端、腰に鈍い痛みが走って、俺は思わず顔を顰める。
「なに、じゃねぇし。なにツンツンしてんだよ。らしくないって。 本当に悪かったと思ってるからさ、な?」
「キミが友達になりたいのは、俺じゃなくて、俺の持ってるお金だろう? 悪
いけど、俺にはもう新しい友達が居るから」
「な……っ!」
キッパリはっきりと言って。俺はそのまま振り返らずにトイレを後にした。
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