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トラブルメイカー ⑤
「随分遅かったね。大丈夫だった?」
更衣室に辿り着いた時、部屋の中に居たのは、先に着替え終わっていた露木君と、数人のクラスメイト。
「う、うん。大丈夫」
「トイレで何かあった? 少し顔色が良くないみたいだけど」
「え……、そんなコトないと思うけどな」
さっき篠田に言われた事を思い出して、ちょっと憂鬱な気分になっただけだ。
でも、ちゃんと言い返したし、わざわざ大したことない事を大袈裟にはしたくない。
「あ、そっか。そうだよね。色々言いにくい事もあるよね。野暮な事聞いちゃったね。ゴメン」
「え……?」
露木君は何を勘違いしたのか、少し困ったような笑みを浮かべながら、俺の頭を撫でる。
その視線は何故か下半身へと向けられているような……。
「……っへ、変な想像しただろ! 言っとくけど違うからっ!」
慌てて露木君の手をはじいて、距離を取る。
「違うって何が?」
「っ……い、いや、だから……えっと」
勝手に早合点して、変な誤解をされても困るけど、かと言って、終わった事を一々説明するのも面倒だし、余計な心配は掛けたくない。
「えっと……だから、その……」
しかし、うまい言い訳が思いつかずに、俺が必死に言葉を探していると
「なにモタモタしてんだ。もうすぐ授業始まるぞ。って……環はまだ着替えて無いのかよ。たくイチャイチャするのは放課後だけにしろよな」
様子を見に来た賢人がひょっこりと顔を出し、呆れたように言う。
「べ、別にイチャイチャなんてしてないし!」
「はいはい。わかったから早く着替えろってば」
「……う、うん」
賢人にまで変な誤解をされたら堪らない。俺は慌てて着替えを始めた。
それにしても、さっきの篠田の態度はちょっと気味が悪かったけど、まさかまた何か企んでいるなんて事は……流石に無い……よな?
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