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トラブルメイカー ⑦

「あ、悪い。足が滑った」 「っ……!」 思わず睨みつけてやったけど、篠田は悪びれた様子もなくニヤニヤと嫌な笑みを浮かべるだけだし、他のチームメイト達は素知らぬ顔。 「っ、……この」 本当に性格が悪い。篠田に殴り掛かりたい衝動に駆られたが、今そんな事をしたら、相手の思うツボだ。 ムカつくけど、今は耐えるしかないんだろうか?  「っ……う」 急に脇腹に肘を入れられ、鈍い痛みが走って思わず蹲りそうになった。でも、こんな事くらいで倒れ込むわけにはいかないと、ぐらりと傾きかけた身体を慌てて立て直そうと必死で足に力を籠める。 その刹那――。 「あっと、やべ、手が滑った」 明らかな棒読みと共に物凄いスピードでボールが俺目掛けて飛んでくるのが認識できはしたが、とてもじゃないが避けきれる距離じゃない。 「っ……!!」 俺は思わず目をつぶって、痛みに耐えようと身体を強張らせた。同時に勢いよくボールがぶつかる鈍い音が響く。 でも、その瞬間に俺が感じていたのは痛みでは無く、誰かに勢いよく抱き留められたような感覚。 「っ、……え?」 鈍い音と、天地がひっくり返るくらいの衝撃で尻もちはついたけど、覚悟していた程の痛みは襲ってこなくて。 咄嗟に瞑ってしまっていた目を開けて、驚いた。俺の視界に飛び込んで来たのは白い天井ではなく、苦痛に歪んだ露木君の顔だったからだ。 なんで、なんで、こんなことになってるんだ? どうして?  さぁ、っと全身の血の気が引いていくのがわかった。

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