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食べ終わったその後は
「なんか、こうしてると新婚さんみたいだね」
「な……っ!ば、な、何言ってんだよっ」
突然耳元でそんな事を言い出すから、俺は思わず赤面してしまう。
露木君、たまに不意打ちでこういう事言うから本当に心臓に悪い……。
「環がこうしてキッチンに立って俺の為にご飯作ってくれるとか。なんか、夢みたいだ」
首筋にチュッと柔らかな唇の感触。
「だから、くすぐったいって」
くすぐったくてクスクスと笑いながら身を捩ると、腰に回っていた手がするりとエプロンの隙間から入ってきて、シャツの上から俺の胸を撫でた。
「つ、つつつっ、露木君っ!!」
「名前、二人きりの時は名前で呼んでって言ってるのに」
「う、あっ」
露木君は拗ねたように頬を膨らませて俺の耳たぶを甘噛みすると、そのまま首筋へと唇を滑らせる。
ちゅ、ちゅっと、わざとリップ音を立てながら露木君の唇が俺の首筋を這い、そして耳へと辿り着く。
「あ、っ」
露木君の吐息が耳に掛かり、思わず小さく声が漏れた。
「環……、可愛い」
熱の篭った声で名前を呼ばれて、そのまま耳を舌で愛撫される。ゾクゾクするようなその刺激に膝が笑って立っていられず、思わずシンクに手を付いて体を支えた。
そんな俺の様子に気をよくしたのか、露木君の手がシャツの中に入り込み脇腹を撫でながら上へと移動していく。
「んっだ、だめだって……っ、料理が焦げちゃう……からっ」
「あー……、それは困るな。椎名がもう作ってくれなくなるのも嫌だし」
露木君はそう言って、名残惜し気に俺の体から離れると「待ってるから」と甘えるように言って、リビングのソファへと戻って行った。
俺はその後ろ姿を見送りながら小さく息を吐く。
危なかった……。もう少しで流される所だった……っ! でも、ちょっと残念に思う自分がいるのも事実で……。
いやいや! 今は料理中だし! 何考えてるんだよ、俺! キッチンで……なんてダメに決まってるじゃんっ!
で、でも……食べ終わったらその後は……。
「って、何考えてんだ俺っ」
俺は慌てて頭をぶんぶんと振って、雑念を振り払う。そして、料理に集中する為に小さく深呼吸をして、再び手を動かした。
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