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食べ終わったその後は ④

そのまま手を取って指先に口付けると、ゆっくりと舌を這わせた。ちゅうっと吸われて、指の根元を舌でなぞられるとぞくぞくとした甘い痺れが背中を走る。 「あっ、ん……」 思わず零れてしまった自分の甘ったるい声が浴室に響いて、俺は慌てて口を噤んだ。手を離そうとするけど、露木君はそれを許してくれない。 利き手じゃないくせに、なんて強さだ。ジッと熱の籠った瞳に見つめられたまま、シャワーの音に混じってちゅぷ、と水音が響く。 「ん……っ、ふ……」 指先に舌を絡めて吸われると腰の辺りに甘い痺れが走り、思わず身を捩る。 咥えられた指が熱い舌に絡められて甘く歯を立てられると腰が砕けそうになって、縋るように目の前の浴槽の淵に手を掛けた。 「はは、環の服びしょびしょになっちゃったね。脱いだら?」 「だ、だれのせいだとっ!」 「僕、かな? だって、環が意地悪言うから」 けして意地悪を言ったつもりはない。めちゃくちゃ強引な手段に俺は絶句した。 絶対にわざとだ。ちょっと煽ったら、俺があたふたして慌てるから面白がってる。 「意地悪なのは露木君の方じゃん……」 「そう? 環があまりにも可愛い反応してくれるから、つい、ね? それに……」 露木君はそう言って悪びれた様子もなくクスクス笑うと、俺が着ていたシャツを首から一気に引き抜いた。露になった上半身を、露木君の左手が滑るように撫でていく。 「こうでもしなきゃ、環は恥ずかしがって一緒に入ってくれないだろ?」 俺の考えなんて、多分お見通しなんだろう。シレっとした表情でそう言いながら露木君の長い指が脇腹から腰へと撫で下りて行き、俺の尻の肉をやわやわと揉む。 「つ、つつつっ、露木君っ!な、なに考えてんだよっ」 「僕はいつだって環の事しか考えてないよ」 「っ」 真っ直ぐ目を見てそんな事を言われてしまい、顔が熱くなる。そんな事言われたら、何も言い返せないじゃないか。 「~~~っ、わかった! 降参。いいよ、一緒に入ってあげる!」 「え、本当?」 「どのみち、その手じゃ背中洗えないんだろう? 俺の服もびちょびちょだし、仕方なく、だから!」 そう、けして俺が一緒に入りたかった訳じゃない。仕方なく、だ!  露木君がどうしてもって言うから、仕方なく! 「うん、ありがとう」 心底嬉しそうな顔をするから、調子狂う。 「絶対、今日は手、出さないでよ?」 「うんうん。あーでも、キスと触るくらいならいい?」 「は? いや、だから……」 「キスとちょっと触るだけ。ね?」 「~~っ、もー、わかった!わかったから!」 俺って、露木君に甘いなぁ。俺ってこんなに押しに弱かったっけ?と思いながらも、結局俺は折れてしまう。 だって、露木君があんまりにも嬉しそうに笑うから。俺は多分、露木君のその笑顔に弱いんだと思う。

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