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協力するよ

「環、顔真っ赤だよ」 「っ!」 露木君はそう言って俺の額にちゅっと口付ける。そしてそのまま俺の身体を抱き寄せて、ぎゅっと抱き締めてきた。 「つ、露木君……っ」 「身体大丈夫? 痛くない?」 「え……あ……」 露木君はそう言いながら俺の背中を優しく撫でる。その気遣うような手の動きに顔が熱くなるのを感じた。 「だ、大丈夫……だけど……」 あらぬところがジンジンするし、まだ中に何か入ってるような違和感があるけど、痛みはない。でも、それを素直に言うのはなんだか恥ずかしくて思わず言葉を濁す。すると露木君は小さく笑って俺の額に自分の額を合わせた。 「そう、良かった」 「……っ!」 至近距離で微笑まれて、息が止まりそうになる。露木君の笑顔は凄く優しいけど、でもどこか色っぽい。 「そ、そそそそうだっ! 包帯! 巻き直すんだったね! ちょっと待っててっ!」 これ以上変な空気になっちゃったら流石にまずい。転げるようにベッドから降りて、部屋から飛び出す。 リビングのソファに置きっぱなしになっていた露木君のカバンから包帯と薬の入った袋を取り出そうとして、一緒に入っていた数枚の紙がパサリと床に落ちた。 「ん? なんだ、コレ」 何気なく拾った時に目に飛び込んで来た「起訴状」の文字。 その不穏な文字に、思わず息を飲む。 「え……起訴状……?」 なんで、露木君が? 誰かに訴えられるような事を? でも、一体誰に……?  持っている手が震えて、心臓がバクバクと大きな音を立てている。 「環、どうしたの? 包帯なら僕のカバンに……」 「あっ!」 突然背後から声を掛けられて飛び上がらんほど驚いた。焦って紙をカバンに突っ込んで、咄嗟に背中に隠す。 「な、なんでもないっ! それよりこれ!」 俺は慌ててカバンから包帯と薬の袋を取り出して露木君に突き付けた。すると露木君は思うところがあったのか困ったように眉を下げた。 「ありがとう。その様子だと……見られちゃったみたいだね」 「っ、ごめんっ、俺、見るつもりなんて全然なかったんだ」 「いいよ。大丈夫。わかってるから……包帯を巻き直しながらでいいから、聞いてくれる? 環にはちゃんと話しておきたい」 露木君はそう言って、俺の手から薬と包帯を受け取った。そしてそのままソファに座ると、俺にも座るよう促した。

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