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協力するよ 3
「手っ取り早く稼ぐのはアレしか方法が無くってさ」
「いやいやいや! おかしくない!? なんで露木君が……」
「うーん、あんな人でも、唯一の肉親だから……ね」
露木君はそう言って笑った。その様子に胸がぎゅっと締め付けられる。
「なんで……っ、そんな……」
「ん?」
「なんでそんなヘラヘラしてるんだよ!?」
そんなのおかしいに決まってる。子供が親の尻ぬぐいするなんて絶対に普通じゃない! しかも、それをなんでそれを当たり前みたいに受け入れてるんだ!? 信じられない。理解出来ない。そんな泣きそうな顔で笑う姿なんて見たくなかった。
「だって仕方が無いじゃないか。股の緩い馬鹿な女でも、あの人は僕のたった一人の肉親で……。例えどうしようもない親だったとしても、僕が稼ぐお金にしか興味が無かったとしても、心の何処かでは……愛してくれてるんじゃないかって期待してるんだ。もしかしたら、僕も彼女に依存、してるのかも」
露木君はそう言って、包帯が巻かれたばかりの右手に視線を落とした。その表情は笑っていて、でもどこか諦めたような、悲しい色を浮かべていて、堪らず露木君をギュッと抱き締めた。
とてもじゃないけど見ていられなかった。
「た、環?」
「俺がいる」
「えっ?」
「俺がいるじゃん。俺が、ずっと側にいるし。だから……っ、そんな諦めたみたいに笑うなよ! 一人で抱え込まないでよ!」
「環……」
露木君の腕にぎゅうっと強く抱き締め返される。まるで存在を確かめるみたいな抱擁に胸がキュッと切なく音を立てた。
この人はいつからそんな生活を送っていたんだろう? 俺がNaoの配信を知ったのが約5年前。少なくともその頃から搾取し続けられてきたんだろうか? もしかしたら、もっと前から?
いつも優しく包み込んで、俺を沢山甘やかして、甘えさせてくれる露木君。でもその心の奥ではきっとずっと苦しんでたんだ。
なんで、気付いてやれなかったんだろう。
「泣いてるの?」
「っ、泣いてないし!」
込み上げて来る感情をどう処理したらいいかわからなくて、慌てて露木君の肩口に目元を押し付けて誤魔化す。でも、そんな俺の抵抗は無駄で、すぐに露木君の指先が優しく目元を拭った。
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