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露木君と一織 ②
「ええっとつまり、慰謝料請求されたこの人の母親に紹介する弁護士を俺に探して欲しい。って事で合ってる?」
昼下がりのカフェのテラス席。一織の前にはブラックコーヒーが、俺と露木君の前にはミルクたっぷりのカフェラテと美味しそうなケーキが置かれている。
「うん、まぁそんな感じ」
「いや、そんな感じって……」
一織は呆れたように露木君を見た。一織は呆れたように露木君を見た。その表情に困惑の色が混じっている。
露木君は流石に申し訳ないと思っているのか、困ったような表情を浮かべてはいるが、何処か不服そうな雰囲気もある。
まぁ、自分より年下にこんな事をお願いしないといけないってのも微妙な気持ちなんだろう。
「……まぁ、事情はだいたいわかった。……環先輩から知り合いに弁護士はいるかって聞かれた時点でおかしいなとは思ったんだけどさぁ」
「ごめん。父さんには相談しにくくってさ。かと言って、俺達はまだ未成年だし……。一織しか頼れるヤツが居ないんだよ」
「……」
物凄く複雑そうな表情で、俺と露木君を見比べた一織は、うーと低く唸った後盛大な溜息を溢した。
「……。まぁ、親父の知り合いにそう言うのに強い弁護士さんは何人か知ってるよ。 紹介って形でいいなら、話を通しておくけど」
「! あ、ありがとう!」
一織の言葉に俺は思わず身を乗り出して、その手を握った。すると一織は少しだけ頬を赤らめて視線を逸らした。
「言っとくけど! 環先輩の為だからね! 本当は嫌だけど! 仕方なくだから!勘違いすんなよ!」
どうやら一織は露木君が嫌いらしい。昔から人見知りが激しかったけど、それはいまだに健在なのか。
露木君は確かに最初はとっつきにくいかもしれないけど、話してみたら凄く話しやすいんだけどな。
「わかってる。 ありがとう、えっと…」
「中西です。中西一織」
「ありがとう、中西君。このお礼はまた改めてさせて貰うよ」
露木君はそう言ってニッコリと微笑んだ。その笑顔を見て一織は更に嫌そうに顔を歪める。
「別に礼とか要らないし。 俺は環先輩の為にするだけだから! 変な勘違いしないで」
ふいっとそっぽを向いて、一織はコーヒーを啜る。露木君はそんな一織に困ったように苦笑いを浮かべた。
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