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初めての……③

「もしかして、緊張してる?」 部屋に入ってすぐ、露木君はクスッと笑いながら言った。俺が小さく肩を跳ねさせると「可愛い」と更に笑みを深める。 「し、仕方ないじゃん! こんなとこ来る必要なんて無いし……っ」 ラブホって、もっと全体的にピンク色でいかにもって感じがする所なのかと思ってたけど、全然違う。普通のこじんまりとしたホテルって感じで、ホッとしたけど、それでもそう言う事をする所なのは変わりなくて。 正直、緊張しない訳がない! だって、やっぱり、もしかして……って思うじゃないか。 「あー、まぁ。普段は家で出来るしね」 「っ、露木君!」 俺の考えを見透かしたみたいに、さらりと言ってのける。 なんでそんな事言うかな!?  俺は思わず顔を真っ赤にさせて露木君を睨みつけた。でも、彼は全く気にする様子もなく入り口で固まったままの俺の手を引いてすぐ近くにあった扉を開けた。 そこは、どうやらお風呂になっているらしい。大きな浴槽が中央に置かれていて、シャワーやシャンプーなんかのアメニティも充実している。壁にはテレビが埋め込まれ、大昔にばあちゃん家にあったお風呂マットの大きいバージョンみたいなのとか、変な形をした椅子が置いてあることを除けば、ホテルにある普通の風呂場と何ら変わらないように見えた。 「ほら、早く脱いで」 「ふへっ!? な、な、なんでっ!?」 「なんでって、全身びしょびしょなんだから、風邪ひいちゃうだろ?」 露木君に言われて、俺は自分の姿を改めて見下ろした。確かに全身ずぶ濡れで、服が肌に張り付いて気持ち悪い。

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