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初めての…… ⑤
「環のえっち」
「はぁ!? ち、違うし……っ」
揶揄うように言われて、カァッと顔が熱くなるのを感じた。別にそんなつもりは一切無いけど、露木君の裸にドキドキしているのも事実で。
「って言うか。どうしてもシたいって思ってるのは俺じゃなくて、露木君の方なんじゃない?」
「そりゃ、そうだよ。こんな所まで来て何もなしなんて、蛇の生殺しもいい所じゃないか」
露木君は俺の顎を掴んで正面を向かせようとする。俺の所為にしたがるから嫌味を言ったつもりだったのに、反撃を喰らって言葉に詰まった。
「……っ」
思わず顔を横に向けて、視線を泳がせていると、耳を軽く噛まれた。舌の先で耳の後ろをなぞられて、肌が粟立ち、じんと腰が痺れる。
言葉でも、力でも露木君にはとても敵いそうにない。初めて露木君と関係を持った日から、幾度となく露木君に押し倒された。 いや、された。なんて被害者ぶるのは辞めるべきか。なんだかんだと言いながらも結局強く拒んだことなんて一度もないのだから。
露木君は俺の弱い所なんて全部お見通しだ。耳の後ろや首筋は特に弱くて、触れられると途端に力が入らなくなってしまう。
「ねぇ、環も脱いで」
熱っぽい声に促され、俺は小さく息を吐くと観念して大人しくシャツに手をかけた。
露木君の前で裸になるなんて今更恥ずかしがるような事じゃない筈なのに、こんな場所だからだろうか? 妙に緊張して、手が震えてしまう。
露木君はそんな俺の様子を、ジッと食い入るように見つめていて、その視線から逃げるように、俺はシャツを脱ぎ捨て慌てて浴室に駆け込むと、シャワーのコックを捻った。
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