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初めての…… ⑦

「ふぅん? じゃぁこっち向いてよ」 身体を屈めて前に回り、しゃがみ込んだ俺の顔を覗き込もうとして来る。 「……っ!」 俺は慌てて首を横に振った。露木君には悪いが、今の顔を見られたくはない。 きっと真っ赤になっているであろう頬を押さえながら俯くと、露木君の手のひらが俺の額に触れてきた。 そのまま前髪を掻き上げられ、露になった額に唇が押し当てられる。反射的に顔を上げると、至近距離に露木君の顔があって、心臓が大きく跳ねた。 至近距離で見つめ合ったまま身動きが取れずにいると、不意に唇が重なった。 何度か啄ばむように触れてから離れていった唇に名残惜しさを感じて思わず目で追うと、露木君は困ったように眉を下げる。 「そんな物欲しそうな顔しないで」 「……っ、……してない」 咄嗟に言い返すけど、頬が熱を持っているのが自分でもわかる。 「まぁ、環のそんな顔見れるのは僕だけだと思うと悪い気はしないけどね」 「そんなの……当たり前じゃん」 露木君にだけだし。と心の中で付け加える。声に出さなかったのは、恥ずかし過ぎて無理だから。 そんな俺の心中を察しているのかいないのか、露木君は満足そうに笑うと再び唇を重ねてきた。今度は触れるだけじゃなくて深いキスになる。 「ん……っ、ふ……ぁ……」 舌先で歯列をなぞられ、ゾクリとした感覚が背筋を駆け上がった。思わず腰が引けそうになるのを、露木君の手が許してくれなくて、そのまま壁に背中を押し付けられる。 「ちょっ……ま、待って……」 唇が離れた隙に慌てて制止の声を上げるけど、露木君は止まってくれなかった。むしろ更に激しく咥内を貪られて呼吸すらままならなくなる。

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