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初めての…… 13

「な、何でもないよ」 慌てて取り繕うようにそう伝えると、露木君は小さく笑った。そしてそのまま俺の額に口付ける。 「安心しなよ。約束は守るから」 「…………」 露木君って、変な所で律儀なんだよな。 いつも俺をからかう癖に、肝心な所ではちゃんと線引きをしていると言うか。 それが彼なりの誠意なんだろうけど、時々その線引きをもどかしく感じてしまう事がある。 でも、それは俺が勝手に思っているだけで露木君は何も悪くないし、むしろ俺を大切に思ってくれてるからこその行動だって事もわかってるんだけど。 ラブホまで来てお互いに抜き合って、キスして終わりとか、なんか虚しいというか、やっぱり物足りないというか。 俺はもっと露木君と触れ合いたいのに、どうして今日に限ってわかってくれないんだろう? それとも、わかってて敢えて気付かないフリしてる、とか? あり得ない話じゃない。だって、露木君だし。 視線だけあげて露木君の顔を見ると、彼はいつもと変わらない様子で微笑んでいた。その表情からは何を考えているのか全く読み取れない。 「どうかした?」 露木君はそう言いながら俺の髪を優しく撫でる。そのまま指先が頬に触れて、親指が唇をなぞった。ゾクリとした甘い痺れが背中を走る。 「ん……っ」 視線が絡み、引き合うみたいに唇を寄せ合ってキスをした。最初は軽く触れ合うだけだったそれが徐々に深くなっていく。 舌先で歯列をなぞられ、上顎を擽られると自然と吐息が漏れた。それを見計らったかのように露木君の舌が口の中に滑り込んでくる。 「ふ、んん……」 舌を絡め取られ強く吸われて頭の中が真っ白になった。混ざり合った唾液を飲み下す度に身体の奥が熱くなるような感覚に襲われ、無意識のうちに下肢を露木君に押し付けてしまう。 露木君は俺の反応に気付いたのか、喉の奥で笑うと太腿の間に手を差し入れてきた。そのままゆっくりと内腿を撫で上げられて、期待に身体が震える。 唇が離れると同時に露木君の長い指先が腿の付け根に触れた。際どい部分を掠めるように触れられて肌が粟立つ。

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