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初めての…… ⑭
焦らすような愛撫にどうしようもなく腰が揺れてしまう。もっと強い刺激が欲しいのに、露木君はなかなか先に進もうとしない。
「露木、く……っ」
もっとちゃんと触って欲しくて名前を呼ぶと、彼は小さく笑って俺の耳朶を食んだ後耳元で囁いた。
「どうしたの? 環」
「っ……」
わかってるくせに、わざと聞いてくるなんて意地悪だと思う。でも、そんな所も嫌いじゃないから困る。
「ちゃんと言ってくれないとわからないよ?」
「……いじわる」
俺が唇を尖らせると露木君はクツクツと笑った。そのタイミングで時間終了のアラームが鳴り響き、俺は思わず露木君の顔を見る。
「時間だね」
「……」
物足りなさを感じながらも渋々身体を起こすと、露木君は俺の身体を抱き寄せた。そのまま優しく背中を撫でられる。
「続きはまた今度かな」
涼しい顔をして半渇きの服に袖を通しながら言う。こんな中途半端な状態で終わりなんて酷くない? そう思ったけど、自分から強請るのは流石に恥ずかしすぎて下肢に欲求不満を覚えつつ服を着る。
俺、露木君とこういう関係になってから、凄く欲張りになった気がする。
前はもっと淡白だったというか、こんな風に強い性衝動を感じた事なんて無かったのに。
「なにしてるの? 置いてくよ」
「わっ、ちょっと待って! 行くってば」
ああもう、なんか悔しいな……俺ばっかりドキドキさせられてる気がする。
俺は慌てて立ち上がると露木君の背中を追った。ホテルを出たところでタクシーを捕まえ、二人で乗り込む。自宅の住所を告げるとタクシーはゆっくりと走り出した。窓の外を流れていく景色を眺めながら小さく息を吐く。
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