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欲求不満 ③

「っ、何やってんの俺……っ」 いくら寂しいからって人のベッドで勝手に自慰なんて、流石にどうかと思う。 でも、一度火が点いてしまった身体はそう簡単には治まりそうになくて、俺は小さく舌打ちを一つ。 壁に掛けてあるデジタル時計は21時前を示している。露木君が戻って来るまでには多分まだ時間はあるし、少しだけなら……いい? ……ちょっとだけ、だから。ほんの少しだけ触るだけだし、バレないって。 自分に都合のいい言い訳しながらおずおずとズボンの中に手を入れ下着越しにそこに触れると既に緩く勃ち上がっていて、思わず苦笑してしまった。 露木君の枕に顔を埋めながらそれを握り込むとゆっくりと上下に動かす。するとすぐに先端からじわりと蜜が滲んで来るのがわかる。 きっと露木君の部屋でこんな事をしてるってバレたら、ドン引きされるんだろう。バレたら困ることになるのは自分だってわかってるのに。妙な背徳感と興奮が入り交じり、俺は夢中で手を動かした。 「んっ、は、ぁ……、んんっ」 先端から零れる蜜の量が増えてきて滑りがよくなり、摩擦が減って扱くスピードが上がる。下着の中でくちゃくちゃといやらしい水音が鳴り響き羞恥心を煽ったけど、それもまた興奮材料になった。 布越しに握り込んだそこはもう硬く張り詰めていて酷く窮屈で苦しい。でもそれ以上に気持ち良くて頭が蕩けそうになる。でも、イけない。 いつもよりずっと興奮してる筈なのに、どうして? 露木君が側に居ないから? それとも、こんな所を弄ってるってバレたら嫌われちゃうかもって不安があるから? わからない。でも、何か決定的な刺激が足りなくてもどかしい。 「……ぁ、あっ……どう、して……っ」 無意識に腰が揺れる。もっと強く握って欲しい。奥まで突いて滅茶苦茶にして欲しくなる。だけど俺の両手は快楽を求めてただ単調に手を動かすことしか出来なくて、もどかしさばかりが募っていく。 その時ふと、デスクのすぐ下に小さめの段ボール箱が無造作に置かれているのが視界に入った。

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