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欲求不満 ⑪
「あ、あっ!……っ、ゆびじゃ、やだぁっ」
生理的に浮かんだ涙で視界を歪ませながら、懇願に近い声を上げるとようやく彼は指を引き抜いた。そして俺の腰を抱え直すと、熱く昂ったものの先端を押し当ててくる。
「っ、あ……」
これから与えられるであろう快感に期待と不安が同時に込み上げてきて、思わずゴクリと喉が鳴る。
そんな俺の様子を察してか露木君は俺の耳元に唇を寄せてきた。そして低く掠れた声で囁く。
「環……挿れてもいい?」
「……っ、こんな状態で聞くなってば……」
素直に言葉になんて出来る筈も無くて、枕に顔を埋めたままぶっきらぼうに答えた。すると露木君はクスリと笑みを漏らすと腰を掴んで一気に奥まで突き入れてきた。
「あぁっ!……ッ、ん、ふぁっ、あっ!」
指とは比べ物にならないくらいの質量を持ったそれが容赦なく内壁を擦り上げながら押し進んでくる久しぶりの感覚に背筋が震える。
「ッ、キツ……っそんなに締め付けないで」
露木君は少し苦しそうに眉根を寄せながら俺の背中に覆いかぶさってきた。そして耳朶を甘噛みしながら軽く歯を立てる。
「ひっ、あっ! わ、わかんな……っ」
痛いはずなのにそれすらも快感として拾ってしまう自分に呆れてしまう。そのまま耳をねっとりと舐められて背筋がゾクゾクした。露木君の舌先が耳の穴にまで侵入してきてピチャピチャという音が脳内に直接響いてくるような感覚に思考が蕩けそうになる。その間も露木君はゆるゆると腰を動かしていて、時折先端で感じる部分を押し上げるように刺激されて身体がビクビクと跳ね上がった。
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